カレントテラピー 33-9 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.9 43B型肝炎治療の現在と今後の展望887Ⅳ 急性肝炎国立病院機構の急性肝炎調査研究班報告4)によると,1980~2010年までの期間内に本研究ネットワーク参加30施設で散発性急性肝炎として登録された症例数は4,524例であり,うちA型が1,612例(35.6%),B型が1,294 名(28.6%),C型が385 例(8.5%),非A非B非C型肝炎が1,233例(27.3%)であった.図3は,この30年間の散発性急性肝炎の型別年次推移を示したものである.2000年までは1983年と1990年にA型肝炎の発生の流行が認められたが,2000年以後はA型肝炎の流行はみられず,2000~2009年の期間内でのB型急性肝炎の頻度は39%と,他の肝炎ウイルスに比して最も頻度が高い.この30年間の急性肝炎の発生動向,年次推移から,B型急性肝炎の発生状況は,絶対数,頻度ともに減少傾向にはなく,毎年ある一定数の感染例がみられている.一方,HBV遺伝子型の種類は,AタイプからHタイプ(Gt A~Gt H)に分類される.Orito5)らは,わが国のHBVキャリアーのHBV遺伝子型分布は,Gt A1.7%, Gt B 12%, Gt C 85%と報告している.国立病院機構の急性肝炎調査研究班の1991~2010年までの期間内のB型急性肝炎のHBV遺伝子型(Gt)の検討では,589例中,Gt Aは149例(25.3%),Gt Bは49例(8.3%),Gt Cは387例(65.7%)であった4),6()図4).さらにGt A の頻度に関する年次推移に注目すると,1991~1999 年の期間では7.6%であったが,2000~2004年の期間には23.1%,2005~2009年の期間では42.3%と明らかに増加しており,特に2007年には52%(23/44),2008年には55%(23/42)と50%以上の高い頻度となっていた.地域的にみると関東地域でGt Aの頻度がより高いことが確認されている6).HBVキャリアーのHBV遺伝子型分布に比較して,B型急性肝炎例では明らかにAタイプの頻度が高い.Gt Aは,欧米やアフリカのHBVキャリアーに広くみられるHBV遺伝子型であり,わが国には本来存在しないタイプである.国立病院機構の急性肝炎調査からは,Gt Aの感染は,近年,諸外国との国際交流が盛んになったことを背景に輸入感染症として欧米から関東地域にもち込まれ,性交渉の感染経路により,この数年で急速にわが国全体に感染が広がりつつあ(人)20010001980 1985 1990 1995 2000 2005 2010(年)A型B型C型非ABC型1980-1989 1990-1999 2000-2009201029% 19%35%31%25% 38%9%25%7% 48%17%39%10%20%9% 41%図3 散発性急性肝炎の型別年次推移 1980~2010年(n=4,524 31施設)