カレントテラピー 33-9 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.9 41885Ⅰ はじめにHBs抗原陽性が6カ月間以上持続陽性のものをB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)キャリアーと呼ぶ.B型慢性肝炎も広義的にはHBVキャリアーの範疇に属するが,一般的にはHBs抗原陽性ALT値異常者をB型慢性肝炎,HBs抗原陽性ALT値持続正常者をHBVキャリアー(狭義)として使い分けている.HBVキャリアーの感染経路は垂直感染と水平感染に大別される.垂直感染はいわゆる母子感染であり,HBe抗原陽性の母親からの出産時に感染が成立し,その約90%がキャリアー化すると言われている.一方,乳幼児期のHBVキャリアー成立年齢に関する調査では,3歳以下では約80%,4~10歳までの感染では約30%がキャリアー化すると報告されている.1970~1980年当時,わが国のHBVキャリアーの垂直感染と水平感染の比率は約半数ずつであると言われていたが,その後は,わが国の社会衛生環境,医療環境の改善などの努力によって水平感染が減少し,さらに1986年から開始されたHBIGとHBワクチンによる母子感染事業の開始とともに垂直感染も激減した.現在,日本のHBVキャリアーの大多数は30歳以上であり,それ以下の若年者ではきわめて少ない.本稿では,HBV感染の疫学に関するわが国のデータを概説する.Ⅱ 献血者,肝炎ウイルス検診受診者1995~2000年の期間のわが国の初回献血者のデータによると3,485,648人の献血者のうち22,018人(0.63%)においてHBs 抗原が陽性であり,そのうち男性は1,780,149人中12,990人(0.73%),女性は1,705,499人中9,028人(0 . 53%)がHBs 抗原陽性で* 独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター長肝炎治療の今後の展望― ウイルス肝炎は克服されるかわが国におけるHBV感染の疫学八橋 弘*わが国には約130万人のB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)持続感染者,いわゆるHBVキャリアーが存在すると推定されている.献血者全体のHBs抗原陽性率は0.31%だが,団塊の世代では1%を超えるHBs抗原陽性率を示している.HBV感染は,日本の肝硬変患者の13.9%,肝癌患者の14.9%,急性肝炎患者の28.6%の原因となっているが,2000~2009年の期間に限るとB型急性肝炎の頻度は39%と他の肝炎ウイルスに比して最も頻度が高い.B型急性肝炎ではHBV遺伝子型Aタイプの感染が2000年以後,急速に広がっており,このタイプでは成人初感染例でも約10%が慢性化する.一方,肝癌の原因としてHCV感染関連の肝癌は減少しつつあるも,HBV感染関連肝癌の発生頻度は,この18年間,増減がなく約15%で推移している.