カレントテラピー 33-8 サンプル

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10 Current Therapy 2015 Vol.33 No.8746対象としたものであるが,日常診療でRA患者に遭遇する非専門医にも有益な情報が盛り込まれており,円滑な病診連携のためのツールとして非専門医の先生方にも役に立つと考えている.今回作成されたガイドラインの特徴を列挙する.1) GRADE法を用いて作成し,患者の意見を反映したこと2)わが国独自の薬剤の使い方を収載したこと3) 欧米のガイドラインでは収載されていない手術療法やリハビリに関しても収載したこと4) 日本リウマチ学会から「関節リウマチ診療ガイドラインJCR2014」として出版したことⅣ ガイドラインの内容:治療の原則(表1)治療目標は,臨床症状の改善のみならず,関節破壊の抑制を介して長期予後の改善,特に身体機能障害の防止と生命予後の改善を目指す,とした.リウマチを治すことも大事だが,リウマチを患った患者さんがより幸せな一生を送れることを主眼とした.治療方針としては,関節炎をできるだけ速やかに鎮静化させて寛解に導入し,寛解を長期間維持すること,合併病態を適切に管理すること,適切な外科的処置も検討すること,最新の医療情報の習得に努めることなどが列挙されている.また治療方針を患者と相談して決めることも重要なポイントである.治療の原則も記載した.RA診療は最善のケアを目指すものであり,患者とリウマチ専門医の協働的意思決定(shared decision making)に基づくこと.リウマチ専門医はRA患者のケアを行うスペシャリストであり,RA治療は個人的,社会的,医療費的に大きな負担を生ずるものであることから,リウマチ専門医はこれらすべてを勘案して治療に当たらねばならないこと.少なくとも臨床医はこれらを念頭に置いて,日々の診療に臨む必要がある.Ⅴ ガイドラインの内容:個々の治療法各治療薬の使い方についての推奨文は合計37個ある.項目別に説明する.①抗リウマチ薬としては,注射金製剤,ブシラミン,サラゾスルファピリジン,レフルノミド,タクロリムス,イグラチモドを取り上げた.サラゾスルファピリジンのみ強い推奨で,他は弱い推奨である.②非ステロイド性抗炎症薬は,「臨床症状改善を目的として投与する」ことが重要である.また,低用量ステロイドの全身投与は臨床症状の改善には有用であるが,RAの病変の進行を抑制するわけではないので,有害事象の発現リスクを検討したうえで推奨するとした.治療目標臨床症状の改善のみならず,関節破壊の抑制を介して長期予後の改善,特に身体機能障害の防止と生命予後の改善を目指す.治療方針▼関節炎をできるだけ速やかに鎮静化させて寛解に導入し,寛解を長期間維持する.▼合併病態の適切な管理と薬剤の適正使用によって有害事象の発現を予防あるいは低減し,もしも生じた場合には適切に対応する.▼関節破壊に起因する機能障害を生じた場合には,適切な外科的処置を検討する.▼最新の医療情報の習得に努め,日常診療に最大限適用する.▼治療法の選択には患者と情報を共有し,協働的意思決定(shared decision making)を行う.治療原則▼RA診療は最善のケアを目指すものであり,患者とリウマチ専門医の協働的意思決定に基づく.▼リウマチ専門医はRA患者のケアを行うスペシャリストである.▼RA治療は個人的,社会的,医療費的に大きな負担を生ずるものであり,リウマチ専門医はこれらすべてを勘案して治療に当たらねばならない.表1RAの治療目標,治療方針,治療原則