カレントテラピー 33-8 サンプル

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カレントテラピー 33-8 サンプル

74 Current Therapy 2015 Vol.33 No.8810Ⅲ 顆粒球単球コロニー刺激因子(GM-CSF)阻害製剤顆粒球単球コロニー刺激因子(GM -CSF)は骨髄ストローマ細胞や活性化T細胞のほか,単球,線維芽細胞,血管内皮細胞などから産生される.受容体はα鎖とβ鎖から構成され,β鎖はIL - 3やIL - 5の受容体と共通である.このβ鎖に会合するヤヌスキナーゼ(JAK)2の活性化によりさまざまなキナーゼカスケードを介して,顆粒球系前駆細胞をはじめとした種々の造血細胞の生存や増殖に作用する(図2).GM -CSF受容体α鎖に対するモノクローナル抗体製剤mavrilimumabの第Ⅰ相試験では,0.1 mg/kg,0.3mg/kg, 1.0mg/kg, 3.0mg/kg, 10mg/kgを数名ずつに投与したところ,血清C反応性タンパク(CRP)値の低下などの薬効を認めた5).GM-CSFあるいはその受容体遺伝子のノックアウトマウスが肺胞蛋白症に類似した病態を発現し,肺胞蛋白症患者の一部にはGM -CSFに対する自己抗体が検出されているが,本試験における呼吸機能試験では有意な変動を認めなかった.Mavrilimumabの第Ⅱ相試験は427例のRA患者を対象とし,隔週の皮下投与で行われた(図2)6).主要評価項目である12週時点disease activity score(DAS)28-CRPが1.2以上減少した患者割合は,プラセボ群の34.7%に対して10mg群で41.0%, 30mg群で61.0%,50mg群で53.8%,100mg群で66.7%となり,mavrilimumab投与群全体の55.7%が有意に(p=0.003)高値を示した.またmulti-biomarker diseaseactivity(MBDA)スコアも30mg以上の3つの投与群で有意な改善を示し,生物学的作用が確認された.また,本試験における日本人患者の成績も報告されている(図2)7).Ⅳ IL-17阻害製剤IL - 17受容体αに対するモノクローナル抗体製剤brodalumabの臨床試験では,RA患者における有効性を全く示せなかった8).またIgG1κ型の抗IL- 17Aモノクローナル抗体製剤であるsecukinumabは第Ⅱ相試験を月1回の皮下投与で行い,主要評価項目である16週時点でのACR 20反応率はプラセボ群で36.0%,25 mg, 75 mg, 150 mg,300 mg 投与群でそれぞれ34%, 46.9%, 46.5%, 53.7%とある程度の有効性は示唆されたものの,有意差を認めなかった9).しかしながら,IgG 4 抗IL - 17Aモノクローナル抗体製剤であるixekizumabの第Ⅰ相Proof-of-Concept試験で,主要評価項目である10週時点でのベースラインからのDAS 28変化は,プラセボ群の-1.7に比較して,0.2mg/kg,0.6mg/kg,2.0mg/kg群(いずれも隔週の点滴静注),また全体ではそれぞれ-2.3,-2.2, -2.4, -2.3となり,0.6mg/kg群以外では有意に優れた低下を示した10).さらに第Ⅱ相試験で生物NF-κB MAPK STAT受容体受容体サイトカインJAK JAKbrodalumab(IL-17受容体α)belimumabtabalumab(BAFF/BLyS) sarilumab(IL-6受容体)mavrilimumab(GM-CSF受容体α)sirukumab(IL-6)NNC0109-0012(IL-20)細胞の活性化などsecukinumabixekizumab(IL-17A)図2サイトカインシグナルの概略と阻害製剤本稿で述べた開発中の生物学的製剤の作用点を示す.JAK:ヤヌスキナーゼ,NF -κB:nuclear factor -kappa B,MAPK:mitogen - activated proteinkinase,STAT:signal transducers and activator oftranscription