カレントテラピー 33-8 サンプル

カレントテラピー 33-8 サンプル page 22/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 33-8 サンプル の電子ブックに掲載されている22ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 33-8 サンプル

72 Current Therapy 2015 Vol.33 No.8808Ⅰ はじめに新たな生物学的製剤の開発が必要である理由として,いずれの生物学的製剤にも不応例が30~40%程度存在するという常套句が用いられている.しかし実際には,不応例の割合は生物学的製剤の用法・用量の制限に大きく依存しており,個々の患者に合わせた用法・用量が選択できれば不応例は少なくとも半減すると考えられる.とはいえ,現在の製剤価格の決定システムが当分変わらなければ,新たな製剤開発の余地は大きく残されたままである.そうした状況を踏まえたうえで,本稿では関節リウマチ(rheumatoidarthritis:RA)治療薬として開発中の生物学的製剤の概要を述べる.Ⅱ インターロイキン(IL)-6阻害製剤トシリズマブはインターロイキン(IL)- 6受容体に対するヒト化モノクローナル抗体製剤であるが,完全ヒト型としたsarilumabと,IL- 6自体に対するモノクローナル抗体製剤であるsirukumabの開発が進められている.抗IL - 6モノクローナル抗体製剤としてはolokizumabとclazakizumabも開発が進められていたが,olokizumabはUCB社がトシリズマブとの差別化がはかれないとの理由からRA治療薬としての開発継続を2013年に断念しロシアのR -Pharmに権利を導出,またclazakizumabもブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2014年に断念してAlder社に権利を返却している.メトトレキサート(methotrexate:MTX)効果不十分例に対してMTXを併用しながらsarilumab 100,* 東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野教授/東邦大学医療センター大橋病院膠原病リウマチ科教授進化するリウマチ治療― 診療ガイドライン2014からさらなる進化へ生物学的製剤亀田秀人*わが国で,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)治療薬として承認されている生物学的製剤のほとんどが腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)を標的とした製剤で,ほかにはインターロイキン(IL)-6の受容体阻害製剤,T細胞の補助シグナル分子を介した活性化阻害製剤が各1剤ずつである.現在,開発が進んでいる生物学的製剤のなかで最も有望なのは新たなIL-6受容体阻害製剤である.ほかにIL-17やIL-20,顆粒球単球コロニー刺激因子(GM-CSF),B cellactivating factor of the TNF family(BAFF)の阻害製剤も開発されたが,RAにおける全般的な有効性は既存の治療薬には及ばない.しかし,これらのなかには全身性エリテマトーデスや乾癬など,他の免疫疾患における有用性が期待されている製剤もあり,新規標的製剤の開発による膠原病・リウマチ性疾患全体の治療の進歩が期待されている.