カレントテラピー 33-8 サンプル

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64 Current Therapy 2015 Vol.33 No.8800Ⅴ 難病医療費助成制度2014年5月23日に「難病の患者に対する医療等に関する法律」が成立し,2015 年1 月1 日に施行された.法定化により費用に消費税の収入をあてることができるようにするなど,公平かつ安定的な医療費助成制度を確立するほかに,基本方針の策定,難病の医療に関する調査および研究の推進,療養生活環境整備事業の実施を目指している6).従来の特定医療費(指定難病)支給制度(特定疾患治療研究事業の対象疾患患者における医療費の自己負担を軽減する支援策)から「難病医療費助成制度」(新制度)に変わり,医療費助成の対象疾病は56疾病から110疾病に拡大された.また,2015年夏には約300疾病まで拡大される予定である1).自己負担限度額の算定法が旧制度では生計中心者の前年の所得税額より算定していたが,新制度では同じ医療保険に加入する人で構成する世帯の市町村民税額より算定するようになった(表3)6).医療費の自己負担割合は3割から2割に引き下げられ,外来と入院に分けていた自己負担限度額は,症状が変動し入退院を繰り返す等の難病の特性に配慮して,入院・外来の区別なく合算した限度額になった.入院時の食費は旧制度では自己負担限度額に含まれていたが,新制度では全額患者負担となった.また,院外薬局における薬代も自己負担限度額に含まれる.複数の医療機関を受診した場合,旧制度では医療機関ごとに自己負担限度額を算定していたが,新制度では複数の医療機関の合算額から自己負担限度額が決定されるようになった6).医療費助成対象患者の新たな認定基準は,対象疾患の診断基準とそれぞれの疾患の特性に応じた重症度分類等を組み込んで作成された.新制度において,症状の程度が重症度分類で一定以上のもの,もしくは高額な医療を継続することが必要なものが医療費助成の対象となる.悪性関節リウマチ患者では重症度分類を用いて,3度以上が医療費助成の対象となったが,症状の程度が支給認定の基準を満たさなくても,月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上であれば限度額の軽減がある.2014年12月31日まで有効な特定疾患医療受給者証をもっている既認定者は,申請期限までに新制度への更新申請をして認定されていれば2017年12月31日までの3年間は経過措置の対象となる.新制度では,都道府県が指定した医療機関等での診療等のみが医療費助成の対象となる.また,知事の定める医師「難病指定医」の作成した診断書(臨床個人調査票)を添えて申請する必要があり,指定医以外が作成した旧制度(2014年12月末まで)新制度(2015年1月~)対象者生計中心者医療保険上の世帯員全員算定対象の税金所得税市町村民税(所得割)自己負担割合3割2割自己負担限度額0円~23,100円(月額) 0円~30,000円(月額)入院・外来の区別入院・外来別に入院・外来の区別なし入院時の食費上記の自己負担限度額に含まれる全額自己負担(2017年12月31日までの3年間は半額)院外薬局における薬代自己負担なし月額自己負担限度額に含まれる重症患者自己負担なし自己負担あり(2017年12月31日までの3年間は自己負担限度額の軽減あり)市町村民税非課税世帯自己負担なし自己負担あり人工呼吸器等装着者― 月額自己負担限度額 1,000円高額な医療費を長期的に支払っている患者―月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上の方は限度額の軽減あり生活保護受給者― 月額自己負担限度額 0円表3難病医療費助成制度(新制度)と特定医療費支給制度(旧制度)の比較.月額自己負担限度額の金額・算定方法の主な変更点.〔参考文献6)より引用改変〕