カレントテラピー 33-8 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.8 17関節リウマチ診療ガイドライン2014─日常診療への応用─753Ⅴ MTX使用による合併症,検査・予防一般検査として,下記薬剤性肺障害の他,肝障害,骨髄抑制,口内炎,消化器症状の出現があり,定期的な診察はもちろんのこと,MTXを投与する前,また投与中には定期的に下記検査項目のモニタリングを行うべきである.1 一般検査一般的な末梢血の他(白血球分画,RDWを含む),赤沈,生化学(肝機能検査,腎機能検査,アルブミンを含む),CRP,尿検査は毎回施行する.腎機能検査では高齢者や,低体重者における血清Cr値のみでは,評価として不十分になりがちであり,必要に応じてβ2ミクログロブリン,シスタチンC値を測定し,参考とする.2 肝炎ウイルス検査また,投与前には必ず肝炎ウイルスのスクリーニング検査として,HBs抗原,HBs抗体,HBc抗体,HCV抗体を検査する.必要に応じてHBe抗原,HBV-DNA定量を追加する.HBウイルスの存在が疑われる時は,消化器内科専門医と相談をしながら,治療するべきである.3 画像検査RAの合併症として,間質性肺炎が日常的診療でよくみられる.実際に無症状,単純X線で異常がなくても,CTにて軽少な網状影および索状影などの所見を同定することがある.さらにMTXによる薬剤性間質性肺炎の出現もあり,MTX投与中には少なくとも,1年に1回は胸部単純X線を撮影することが望ましい.4 感染症MTX投与中の重症感染症はMTX開始後80%が2年以内に発現しており,長期投与は重症感染症のリスクを増加させないと報告されている8).リスクとして高齢,既存肺疾患,副腎皮質ステロイド使用,関節外症状,糖尿病などの他,慢性呼吸器感染症,腎機能障害,骨髄障害,日和見感染症の既往がある.予防として,ワクチン接種(65歳以上での肺炎球菌ワクチン,季節性インフルエンザワクチン)や,結核再燃のリスクが高いと判断される場合はイソニアジド(300mg/日,低体重者では5mg/kg/日)や,ニューモシスチス肺炎のリスクが高い場合にはスルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST合剤,1錠または1g/日連日あるいは2錠または2g/日週3回)による治療を行う.5 リンパ増殖性疾患MTX投与中に発熱,リンパ節腫大,肝脾腫,血液分画の異常,高LDH血症が出現し,リンパ腫(MTXRA -LPD)を発症することがある.EBウイルスの活性化が影響していると言われている.MTX RA-LPDではB細胞型非ホジキンリンパ腫が多く,RA発症から比較的発症までが短い.MTX中止により自然に軽快することがある.Ⅵ 間質性肺炎とMTXRAにおける間質性肺炎の存在は,RAの合併症としてもまたMTXの副作用としての薬剤性間質性肺炎としても重要である.さらに実臨床では,細菌性肺炎やニューモシスチス肺炎と鑑別が困難な例も少なくない.RAでみられる呼吸器病変はさまざまであり,間質性肺炎,気道病変,胸膜病変,血管病変などが挙げられる.間質性肺炎ではHRCTで蜂巣肺,すりガラス状陰影があり,一般的にUIP patternが比較的多い.無症状で安定して経過するものも多いが,問題となるのは治療薬の選択である.間質性肺炎の存在はメトトレキサート肺炎(MTX肺炎)となることが知られている.MTX肺炎のリスクファクターを表3に示す.MTXの用量に関係なく薬剤性肺障害(最大5%に発生)が発生し,葉酸の投与も予防効果はなく,特に単純X線で認められるような既存リウマチ性肺合併症患者に多い.MTX開始1年以内にみられること表3 MTX肺炎のリスクファクター・高齢者 ・糖尿病 ・リウマチ性肺疾患・低アルブミン血症 ・DMARDs多剤使用歴