カレントテラピー 33-8 サンプル page 13/32
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カレントテラピー 33-8 サンプル
16 Current Therapy 2015 Vol.33 No.875260mL/分/1.73m2では30%の減量,10~50mL/分/ 1.73m2では50~80%の減量とされているが,日本ではGFR 60mL/分/1.73m2以下では慎重投与,30mL/分/1.73m2ではMTXの使用は一般的に禁忌となっているので注意が必要である.3 MTXの用法これまで本邦では2日間に分けての分割投与が基本であった.しかし,海外では通常一回投与が一般的であり,また本邦でも若年性特発性関節炎(juvenileidiopathic arthritis:JIA)に対しては単回投与が認められていたこともあり,2011年には単回投与が認められた.単回投与と分割投与のbioavailabilityは異なり,海外での成績で,MTX 8mg/週の投与では,bioavailabilityに差はないが,8mg/週を超えて使用する場合は,分割投与のほうが,bioavailabilityは高いという臨床治験の成績がある.それをもとに,本邦でも8mg/週を超えて使用する場合は,1~2日かけて,一週あたりの投与量を12時間ごとに分割投与することが勧められている.しかし,この臨床治験4)はMTXを25mg/週以上内服している患者のみを対象としたものであり,これは必ずしも本邦の16mg/週の患者にあてはまるものではない.10mg/週以上使用する際は,消化器症状が問題になる場合では1~2日かけて12時間ごとに分割投与することで,改善することがある.RAに対する有効性に関しては,『関節リウマチ診療ガイドライン2014』のCQでも検討されたが,単回投与,または分割投与かは十分なデータがなく,今後エビデンスを確立する必要がある.4 生物学的製剤併用療法におけるMTXの使用法代表的な併用試験であるTEMPO試験(エタネルセプト),PREMIER試験(アダリムマブ),CHARISMA試験(トシリズマブ)から,併用による有効率,著効率,寛解率,生活機能改善効果,関節破壊進行抑制効果が報告されている5)~7).用量に関してもMTX単剤治療の場合と用量に差はなく,生物学的製剤併用時にMTXを減量する必要はない.しかし,これらの試験では,併用群で重症感染症がやや増加したことから,他の感染リスク(高齢者,副腎皮質ステロイド投与,糖尿病,肺病変など)がある場合は,MTXの減量を考慮する.5 葉酸の使用に関して葉酸は7 mg/週以下の低用量で併用することで,MTXによる障害のうち,肝障害,消化管障害(嘔気・嘔吐・腹痛)の予防効果をもつとされる.ただ,血球減少予防の効果は十分には示されていない.よって,血球減少に対しては血液検査でRDWの上昇,MCVの上昇などの早期の変化を見逃さず,MTXの減量・休薬をするように指導することが求められている.葉酸とMTXとの投与間隔に関しては国内外の臨床試験の成績から,MTXの最終内服後24~48時間あけて投与することが一般的である.以前より,葉酸を内服することで,MTX自体の有効性が減弱する可能性が危惧されていた.『関節リウマチ診療ガイドライン2014』でもCQがだされ検討されたが,7mg/週以下の低用量の葉酸では,葉酸と活性型葉酸双方ともMTXを減弱させないことが示された.症状を伴う血球減少など重篤な副作用が出た場合には,MTXの中止とともに,活性型葉酸製剤であるロイコボリン投与(ロイコボリンレスキュー)を行う.ロイコボリン錠10mgを6時間ごとに経口投与,またはロイコボリン注6~12mgを6時間ごと筋肉注射あるいは静脈注射する.ロイコボリンの1日投与量はMTXの最低3倍量を目安に副作用が改善するまで継続とし,MTXの排泄促進のために,尿のアルカリ化を行う.体重初回投与2~4週後4~6週後6~8週後35kg 4mg 6mg 8mg 10mg40kg 4mg 6~8mg 8~10mg 12mg50kg 6mg 8~10mg 10~12mg 14mg55kg以上6mg 8~12mg 12~14mg 16mg表2MTX増量スケジュールの例