カレントテラピー 33-8 サンプル

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14 Current Therapy 2015 Vol.33 No.8750また他のcsDMARDにて治療を開始した場合の不応性の患者に対しても,副作用を留意した投与が検討される.Ⅲ 治療アルゴリズム実際に『関節リウマチ診療ガイドライン2014』の治療アルゴリズム,そのなかでもPhaseⅠを図1に示す.このアルゴリズムのなかで,MTXの単剤治療は,MTXと他csDMARDとの併用療法に比べて有効性が高いのかというCQがだされた.結果,これまでの研究結果ではMTXと他のcsDMARD併用療法は,csDMARD未投与またはMTX以外のcsDMARD不応の患者に対して,MTX単剤に比べて,有効性・効果の消失および毒性による中止に関しては有意な差は認められず,また消化器症状,肝機能障害,粘膜障害などの副作用が増悪するという結果であった.副腎皮質ステロイドとの併用は,その抗炎症作用と効果発現の早さから,RAに対しての有用性も認められている.しかし,csDMARDと併用する場合は,低用量(プレドニゾロン換算で7.5mg/日程度)で開始し,早期に減量を行い,6カ月以内には中止するように推奨されている.Ⅳ 実際の使用法1 禁忌と慎重投与MTXは葉酸代謝を拮抗し,核酸合成を阻害する.代謝後,80~90%は腎臓から排泄される.骨髄,血球,肝臓などにも作用し影響を及ぼすことがあり,使用に関しての注意が必要である.MTXの使用に関して,禁忌と慎重投与の患者を表1に示す.ここに示す禁忌項目にあたる場合は,患者の状況に応じて適切なcsDMARDを開始するべきである.また,治療中に他の疾患により使用できなくなることもあり,治療開始前に,スクリーニング検査と,定期的な観察を行うことが重要である.2 MTXの用量1)開始用量欧米のガイドラインでは10~15mg/週(約0.3mg/kg)で開始することが勧められている.日本では至適投与量検討試験で2mg, 6mg, 9mg/週で比較され,2mg/週では効果は低く,また6mg/週と9mg/週では9mg/週のほうが指標の改善が良かったが,副作用として白血球減少や肝酵素上昇が多かった1).その結果を踏まえ,現在は6mg/週での開始が勧められている.しかし,患者に応じて,4~8 mg/週での開始関節リウマチ診療ガイドライン2014 治療アルゴリズムPhaseⅠMTXが禁忌ではないMTXが禁忌± ±推奨2継続推奨2 推奨13MTXを開始する効果不十分の場合はcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)を併用する短期間のみ少量のステロイドを追加してよい* 早期診断には2010 ACR-EULAR分類基準が有用である.** 治療目標は臨床的寛解であるが,達成できない場合でも低疾患活動性を目指す.治療目標は少なくとも6 ヵ月で達成することを目指し,3 ヵ月で改善がみられなければ治療を見直す必要がある.csDMARD(従来型抗リウマチ薬)を開始する効果不十分の場合は他のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)を併用する推奨1~5 推奨6~11関節リウマチと診断*PhaseⅡへ進むNo YesPhaseⅡ治療目標を6 ヵ月以内に達成**図1関節リウマチ診療ガイドライン2014の治療アルゴリズム〔参考文献9)より引用〕