カレントテラピー 33-8 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.8 13749Ⅰ はじめに関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の治療は時代とともに劇的に変化し,近年では疾患に対しての早期治療介入が国際的な標準となっている.治療薬として,次々とbiological DMARD(bDMARD)が出現し,現在世界的にも治療成績・安全性の検討,比較がなされている.その潮流のなかでも,conventional synthetic DMARD(csDMARD)特にメトトレキサート(methotrexate:MTX)のアンカードラッグとしての役割に変わりはなく,その有効性と安全性に関して,近年の経験の蓄積からさらにそれが確固たるものとなってきている.日本リウマチ学会(JCR)の『関節リウマチ診療ガイドライン2014』では,臨床現場の疑問をクリニカルクエスチョン(CQ)として抽出し,それに対するエビデンスを検討し,現場に提供する形で作成がなされた.そのなかでMTXはcsDMARDでは最多の,8つのCQが検討された.本章では,MTXの概要,また実際のMTXの使用法に関して紹介する.Ⅱ MTXの適応MTXはRAの診断がつき次第,禁忌がない限りまず検討される薬剤である.予後不良を検討するかどうか,また他のcsDMARDとの併用を検討するかの違いはあるが,ヨーロッパリウマチ学会(EULAR)のRecommendation 2013,JCRの『関節リウマチ診療ガイドライン2014』,さらに米国リウマチ学会(ACR)ガイドライン2014でも,第一選択薬としてMTXの単剤を推奨している.*1 東京大学医科学研究所附属病院アレルギー免疫科*2 聖路加国際病院リウマチ膠原病センター長進化するリウマチ治療― 診療ガイドライン2014からさらなる進化へメトトレキサートの使用方法馬場洋行*1・岡田正人*2関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)診療において,メトトレキサート(methotrexate:MTX)はアンカードラッグとされており,これまで治療において中心的役割を果たしてきた.本邦では,RA診療におけるMTXへの期待から,2011年より最大用量16mg/週まで使用可能となった.また,その重要性は,各臨床試験の結果やガイドラインの整備により世界的にも確固たるものとなっており,RAと診断した場合は,まず検討される薬剤である.しかし,その使用方法では,いまだ一定の見解が得られていない部分もあり,特に他のconventional synthetic DMARD(csDMARD)やbiological DMARD(bDMARD)との併用ではさらなるエビデンスの確立が必要である.また,さまざまな副作用,時に重症合併症を発症することもあることから,主治医は患者の状態を正確に把握し,各患者に応じた細やかな診療が求められる.