カレントテラピー 33-7 サンプル page 9/28
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カレントテラピー 33-7 サンプル
Current Therapy 2015 Vol.33 No.7 17657より専門医認定がスタートしたが,そのプロセスは学会が認定する研修施設(中規模以上の病院あるいは病院群での2年以上の研修と,地域包括医療を実践している保健・医療・福祉施設群での1年以上の研修)での5年間の臨床経験を前提としており,そのなかでは内科を6カ月以上,外科を2カ月以上,小児科を2カ月以上,救急部を2カ月以上研修すること,さらには,外来診療機能をもつ施設,在宅ケア機能をもつ施設,入所型の介護機能をもつ施設での臨床経験をも必須としていた.その経験に基づいて50症例の簡易事例報告,20症例の詳細事例報告を行い,審査を受ける必要があった.こうした条件をすべてクリアした場合に臨床能力評価試験(clinical skillassessment)と論述試験を実施し,一定の基準を満たした者に専門医資格が与えられた.特に,臨床能力評価試験は画期的であり,外来診療のみならず小外科や救急の能力の評価も行い,他領域に先駆けた実践であった.最初の認定は2001年に行われ,日本初の総合診療領域の専門医7名が誕生した.ただ,同制度の認知度については,旧プライマリ・ケア学会に若手医師の参加が少なかったこと,そして,いわゆるプログラム制度ではなく資格を目指す者による実績申告型の制度設計であったため十分に広まらず,およそ毎年10名前後の合格者が出るのに留まっていた.そうしたなか,主として欧米で家庭医療を学んだ指導者が中核となっていた旧日本家庭医療学会(当初は研究会)が,若手会員の強い後押しもあって新たな専門医制度を創設する流れがスタートした.その際に最も重視されたのは,家庭医療学に基づいた研修目標の精密な設定と,プログラム制度に基づく一貫した研修システムの構築であった.若手中心のワーキンググループなどで諸案が検討され,2006年には家庭医療専門医研修プログラムが成立した.研修は初期研修を含めた5年間で,最低6カ月の診療所研修に加え,病院における6カ月の内科研修と3カ月の小児科研修も必須としていた.研修目標は図1にあるように海外における最新のプライマリ・ケア機能を意識した内容を含んでいた.また,研修実績の評価には研修目標と連動した形で経験と省察を求めるポートフォリオの作成を導入した点も新しく,臨床経験を概念化することに寄与していた.最終認定審査については,すでに制度がスタートした2006年ころより旧プライマリ・ケア学会と旧家庭医療学会下記の能力を統合し,地域の診療所や中小病院で地域の第一線の医療を行うことができる.教育・研究家庭医を特徴づける能力・患者中心・家族志向の医療を提供する能力・包括的で継続的,かつ効率的な医療を提供する能力・地域・コミュニティーをケアする能力家庭医が持つ医学的な知識と技術・健康増進と疾病予防・幼小児・思春期のケア・高齢者のケア・終末期のケア・女性の健康問題・男性の健康問題・リハビリテーション・メンタルヘルス・救急医療・臓器別の問題すべての医師が備える能力・診療に関する一般的な能力と利用者とのコミュニケーション・プロフェッショナリズム・組織・制度・運営に関する能力図1家庭医療専門医研修プログラムの研修目標