カレントテラピー 33-7 サンプル page 20/28
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カレントテラピー 33-7 サンプル
68 Current Therapy 2015 Vol.33 No.7708ては認められていない.一方,医療制度上自然な形でその区別ができている英国は,国民がGPの役割を理解しやすい環境にあると思われるし,その価値を実感している国民自身が家庭医療あるいはGPの支持者になっていると思われる.次に,英国の家庭医専門医制度の歴史に目を移すと,大きな変革のポイントとなったのは,1960年代の家庭医療専門医試験(Membership of Royal Collegeof General Practitioners:MRCGP,受験は任意)の導入と,2007年の新家庭医後期研修プログラム・専門医制度(new Membership of Royal College ofGeneral Practitioners:nMRCGP,受験は必須),の必修化ではないだろうか(図1)1).そして,その変革に大きな役割を果たしたのが,2005年の卒後医学教育・研修委員会(Postgraduate Medical Educationand Training Board:PMETB)の設立であった.PMETBは,これまで学会ごとに行われていた専門医教育プログラムや専門医試験の管理を統括して行う第三者機関で,医師からの登録料と国からの補助金を元に運営されている.この組織は,2010年には,医師の資格の登録や医師の質を管理する第三者機関である,医事委員会(General Medical Council:GMC)の組織の一部に移行している.PMETBの組織構成は,専門各科の学会と家庭医卒後研修委員会からなり,それまで各学会に任されていた専門医教育プログラムの承認・遂行・評価・認証・修了証の発行などの業務を統括して行う役割を担っている.また,それ以外にも,各学会が行う教育プログラムや専門医試験等の評価・検証を行い,英国各地域のDeanery*(ディーナリー)に対してGP指導医の質や数の管理を行っている.現在,英国でGP になるためには,医学部卒業後2年間の基礎研修(日本の初期研修にあたる)とその後3年間の家庭医療専門研修プログラム(日本の後期研修にあたる)を受けなくてはならず,その研修プログラムの履修過程でMRCGPに合格する必要がある.また,家庭医療専門研修プログラムにおいては,病院での約2年のローテート研修以外に,約1年間,研修診療所に配属され,指導医(GP trainer)に弟子入りするような形で,厳しいマンツーマンの指導を受けながら,診療所全体で教育,評価を行っていくような仕組みになっている(図2).*:医師・歯科医師の卒後教育と生涯教育を管理し,研修内容や研修施設の管理も行う機関.英国を地域に分け,現在21カ所つくられている.194819812005200719521960年代・NHS誕生・家庭医療専門医試験(MRCGP)導入:任意・卒後医学教育・研修委員会(PMETB)設立MRCGP:Membership of Royal College of General PractitionersPMETB:Postgraduate Medical Education and Training Board・英国家庭医学会(RCGP)設立・家庭医専門研修プログラム(Vocational Training Scheme)開始・3年間の家庭医専門研修プログラム必修化・研修医の質を均一に保てていない(研修医選抜・PG内容)・新家庭医後期研修プログラム・専門医制度(nMRCGP) 導入:必須図1英国の家庭医療専門医制度:歴史的背景