カレントテラピー 33-6 サンプル page 24/32
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カレントテラピー 33-6 サンプル
Current Therapy 2015 Vol.33 No.6 83治療薬解説619ライン第2版』1)ではテオフィリン製剤と比べより安全で気管支拡張作用が強いβ2刺激薬の使用を推奨している.一方で咳喘息の30%は喘息へ移行するといわれており9),その予防的な意味も含め長期治療が必要となることも多い.咳喘息では喘息と同様に好酸球性炎症や気道リモデリングを認めることから,咳喘息の治療は基本的には喘息の治療に準じて吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroids:ICS)への移行が肝要である.症状が残存する場合にはICSを増量し,適宜,長時間作用型β 2吸入刺激薬(long -acting beta 2agonists:LABA)を併用していく1).1)β2刺激薬? 短時間作用型β2刺激薬(SABA)(吸入剤:サルタノールインヘラーR,メプチンエアーR,経口剤:メプチンR)気管支平滑筋のβ2受容体を選択的に刺激し,cyclic AMPレベルが上昇することで気管支拡張作用を有する.喘息発作時に頓用で使用される薬剤であり,喘息の長期管理として同剤を長期投与するべきではない.吸入剤として,短時間作用型β 2 吸入刺激薬(short-acting beta 2 agonists:SABA)がありその多くはスプレー式の加圧式定量噴霧吸入器(pressurized metered dose inhaler:pMDI)製剤である.また,経口薬としてメプチンRがあるが,発作時には通常吸入薬が使用される.? 長時間作用型β2刺激薬(LABA)(吸入剤:セレベントR,オンブレスR,オーキシスR,経口/貼付剤:ホクナリンR)LABAは1日2回あるいは1回の投与で気管支平滑筋に作用し,長時間の気管支拡張作用を示す.ホクナリンRには貼付剤があり,アドヒアランスが不良あるいは小児,高齢者,吸入の手技が困難な患者に用いられる.数%の頻度で振戦や動悸を認める.咳喘息の診断時におけるLABAとSABAの使い分けに関して,『咳嗽に関するガイドライン第2版』1)では診察中の咳や突発的に生じる咳嗽に対してはSABA,咳嗽が持続する場合にはLABAを使用することが推奨されている.SABAと同様,喘息に対してはLABAの単独投与はSMART試験においてプラセボ群と比較し,呼吸器関連死の増加が指摘されており避けなければならない10).2)テオフィリン製剤(テオドールR,ユニフィルR,ユニコンR)気管支拡張,肺血管拡張,横隔膜収縮力の増強,肥満細胞からの化学伝達物質の遊離抑制といった作用があり,機序としてはホスホジエステラーゼ作用を阻害させ細胞内cAMP濃度を上昇させることで鎮咳作用をきたすとされているが,その他にもアデノシン受容体拮抗作用や細胞内カルシウムイオンの分布調節作用なども報告されており,詳細な機序は不明な点が多い.副作用としては各薬剤による相互作用が多く,使用の際には添付文書等を確認する必要がある.また,テオフィリン中毒(血中濃度20μg/mL)には注意が必要であり定期的な血中濃度測定が望ましい.ただし『咳嗽に関するガイドライン第2版』1)では,安全性や気管支拡張作用の点から,咳喘息における診断・治療のための気管支拡張薬の使用ではβ2刺激薬を推奨している.3 吸入ステロイド(ICS:オルベスコR,パルミコートR,フルタイドR,キュバールR,アズマネックスR)グルココルチコイドによる抗炎症作用により,各種炎症性サイトカインの産生および遊走の抑制や気道内好酸球の増加,血管透過性亢進,気道粘液線毛輸送能低下を抑制することで気道狭窄や気道過敏性を抑制し咳嗽を抑える.咳喘息の治療薬として第一選択薬であり中用量のICS単剤で加療を開始する.一方で,アトピー咳嗽の第一選択薬はヒスタミンH1受容体拮抗薬であるが,改善に乏しい症例ではICS加療の追加により改善を認める場合もある.咳喘息・アトピー咳嗽においても咳嗽が強く,ICSの使用が困難な場合には経口ステロイド(プレドニゾロン20~30mg/日)の1~2週間の投与を検討する11).ICSを使用する際には投与回数,残数の把握のしやすさ,操作性などを基に患者に合った製剤を選び,アドヒアランスを保つことが重要である.一方でICSの効果が乏しい際には,疾患の再考のほかに患者がしっかり使用できているかも確認することが重要である.