カレントテラピー 33-6 サンプル

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82 Current Therapy 2015 Vol.33 No.6618は作用機序が異なるカルボシステインと併用することも多い.3)ブロムヘキシン塩酸塩(ビソルボンR)気道粘膜の分泌を活性化し,漿液分泌を増加させる気道分泌促進薬である.対象としてはキレの悪い痰に有効であるが,喀痰量を増加させる可能性があるため注意が必要である.また,ビソルボンR吸入液に限ってはアスピリン喘息を悪化させることがあり,同患者に対しては禁忌である4).2 マクロライド系抗菌薬(エリスロシンR,クラリスR,ジスロマックR)マクロライド系抗菌薬が第一選択薬として用いられる疾患の代表として慢性副鼻腔気管支症候群(sinobronchialsyndrome:SBS)がある.SBSは上気道の慢性副鼻腔炎に下気道の慢性気管支炎,びまん性汎細気管支炎,気管支拡張症を合併した病態であり,湿性咳嗽をきたす.SBSのひとつであるびまん性汎細気管支炎に対してはマクロライド系抗菌薬の有用性が確立しており,少量エリスロマイシン投与を6カ月継続,その後効果判定し,効果を認めた際には治療を継続する5).その他の慢性気管支炎,気管支拡張症に対しても少量マクロライド系抗菌薬の効果が示されている6).慢性副鼻腔炎においては少量マクロライド系抗菌薬の有用性が示されている一方で,急性副鼻腔炎に対しては起因菌である肺炎球菌およびインフルエンザ菌のマクロライド系抗菌薬に対する耐性化が近年問題となっており7),注意が必要である.一般的にエリスロマイシン400~600mg/日あるいはクラリスロマイシン200~400mg/日で処方されることが多い8).ただし,クラリスロマイシンを使用する際には肺Mycobacterium avium-intracellulare complex(MAC)症の除外が肝要である.肺MAC症においてクラリスロマイシンはkey drugであるが,単剤でのクラリスロマイシンの使用は薬剤耐性化につながるため注意が必要である.ゆえに,長期使用の際には抗酸菌検査や画像検査で同疾患の否定をすることが重要で,疑わしい場合にはエリスロマイシンの投与をはじめに検討する必要がある.3 抗ヒスタミン薬後鼻漏の原因として副鼻腔炎のほかに,アレルギー性鼻炎が挙げられる.アレルギー性鼻炎に伴う咳嗽は乾性の場合が多く後述に記載する.Ⅲ 乾性咳嗽に対する治療薬1 中枢性鎮咳薬主に乾性咳嗽に対して,個々に対する疾患への治療を行ったうえで対症療法として用いられるべきである.1)コデインリン酸塩水和物(コデインリン酸塩散1%R)モルヒネと類似の化学構造を有し,オピオイド受容体に結合するが鎮痛・鎮静作用や悪心・嘔吐,下痢といった作用はモルヒネよりも弱い.一方で,鎮咳作用が強く,延髄の咳嗽中枢に直接作用し咳反射を抑制することで鎮咳作用を示す.また,麻薬免許がなくてもコデインリン酸塩散1%Rは処方することが可能である.2)デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(メジコンR)延髄の咳中枢に作用し鎮咳作用を示すが,コデインリン酸塩水和物に認めるような気道分泌抑制作用や呼吸抑制作用はない.また,グルタミン酸受容体の1種であるN-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体拮抗薬でもあり,NMDA受容体への選択的拮抗作用が鎮咳作用をきたす4).一方,同剤は中枢のセロトニン濃度を上昇させる.同様にセロトニンの代謝を阻害作用のあるモノアミン酸化酵素(monoamine oxidase:MAO)阻害薬との併用はセロトニン症候群を生じることがあるため禁忌である.コデインリン酸塩水和物とともに対症療法として頻用されている.3)ベンプロぺリンリン酸塩(フラベリックR)咳中枢興奮性の低下,一部は肺伸張受容器からのインパルスの低下および気管支筋弛緩作用を示すことで鎮咳作用を発揮する.頻度は不明であるが,聴覚異常(音感の変化など)が知られている.2 気管支拡張薬気管支拡張薬で咳嗽が改善されれば,咳喘息の可能性がある.咳喘息やアトピー咳嗽の鑑別として気管支拡張薬を使用する際には,『咳嗽に関するガイド