カレントテラピー 33-5 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.5 7431動脈硬化の診断と治療の現状と展望― 包括的戦略による動脈硬化性疾患制圧へむけた取り組み―企画横浜市立大学医学部循環器・腎臓内科学主任教授梅村 敏動脈硬化性疾患は,本邦の第2位,第4位の死亡原因である心疾患,脳卒中の主要な原因として,その発症の予防,進展抑制がきわめて重要であることは論をまたない.日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン(JSH2014)にも「高血圧治療の目的は,高血圧の持続によってもたらされる心血管病の発症・進展・再発を抑制し,死亡を減少させることである」と述べられている.この心血管病の多くが動脈硬化性疾患である.高齢化社会を迎え,「寝たきり」や「認知症」が大きな社会問題となり,かつ個人レベルでも関心事となっているなか,これらの原因にも深くかかわるのが,動脈硬化症とそのリスク因子である高血圧を含む生活習慣病(糖尿病,脂質異常症,肥満等)である.動脈硬化は,いわゆるAtherosclerosis(粥状動脈硬化症)とMonckeberg型中膜硬化,Arteriolosclerosis(細動脈硬化)が含まれるが,一般的には心筋梗塞等に関与する粥状動脈硬化症を示すことが多い.動脈硬化の評価方法も確立しつつある.早期の内皮機能の変化を検査するRH-PAT,FMDや動脈スティフネスを評価する脈波速度を利用したPWV,CAVIなどが利用されている.さらに超音波,MRI,CTはもちろん血管内視鏡も用いられている.本特集においては,動脈硬化症の疫学,成因,病態,診断,治療の進歩を中心に各分野の専門の先生方に解説していただいた.さらに,最近の動脈硬化症の再生医療や免疫との関係についてもご紹介いただいた.『Lancet』誌の日本医療特集号にも述べられていた通り,本邦の動脈硬化症のリスク因子のコントロールはいまだ不十分と思われる(図).本特集がその改善の一助となれば幸いである.エディトリアル高血圧症高コレステロール血症患者の比率(%)日本米国日本米国020406080100未診断診断済・未治療治療済・コントロール不良治療済・コントロール良好図日・米における高血圧症・高コレステロール血症の診断率と管理の状況日本は米国に比べ未診断が多く,目標到達率が悪い高血圧:>最高血圧140mmHg高コレステロール血症:>LDL-C 120mg/dL2007年国民健康栄養調査(日本)2007~2008年全国健康栄養調査(米国)〔Lancet 2011;378:1174-1182〕