カレントテラピー 33-5 サンプル

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64 Current Therapy 2015 Vol.33 No.5488このほか,今回の改訂版では,慢性腎臓病(CKD),家族性高コレステロール血症(FH),脳梗塞や末梢動脈硬化などが高リスク病態として取り上げられ,厳格な治療を勧めている.このような高リスク病態を意識して治療指針をまとめたのが図5である.アメリカのACC/AHAガイドラインの治療対象者に酷似していることはご理解いただけるのではなかろうか?5 脂質異常症の治療脂質異常症の治療は,あくまでも動脈硬化予防のためであり,生活習慣の改善が大前提である.そのうえで,特に高リスク病態の場合は,薬物療法に進むということはこれまでと同様であり,基本である.治療については本稿の趣旨ではないので割愛する.Ⅵ おわりに日米のガイドラインの流れを概説した.基本的には,アメリカのガイドラインが世界の軸となって動いてきた感が否めないが,わが国独自の疫学データや治療エビデンスを用いたという点では,わが国の固有のガイドラインとなっていると考えるべきであろう.脂質異常症のスクリーニング冠動脈疾患の既往があるか?冠動脈疾患の一次予防のための絶対リスクに基づく管理区分なしなし以下のいずれかがあるか?1)糖尿病2)慢性腎臓病(CKD)3)非心原性脳梗塞4)末梢動脈疾患(PAD)NIPPON DATA80による10年間の冠動脈疾患による死亡確率(絶対リスク)0.5%未満0.5以上2.0%未満2.0%以上追加リスクなしカテゴリーⅠカテゴリーⅡカテゴリーⅢカテゴリーⅡカテゴリーⅢカテゴリーⅢカテゴリーⅢ追加リスクの有無以下のうち1つ以上あり1)低HDL-C血症(HDL-C<40mg/dL)2)早発性冠動脈疾患家族歴第1度近親者(かつ男性55歳未満,女性65歳未満)3)耐糖能異常(糖尿病は含まない)あり二次予防あり図5 LDLコレステロール管理目標設定のためのフローチャートLDLコレステロール140mg/dL以上高LDLコレステロール血症120~139mg/dL 境界域高LDLコレステロール血症**HDLコレステロール40mg/dL未満低HDLコレステロール血症トリグリセライド150mg/dL以上高トリグリセライド血症LDLコレステロール値はFriedewald(TC-HDL -C-TG/5)の式で計算する(TG値が400mg/dL未満の場合).TG値が400mg/dL以上や食後採血の場合にはnon HDL-C(TC-HDL-C)を使用し,その基準はLDL-C+30mg/dLとする.表2脂質異常症:スクリーニングのための診断基準(空腹時採血*)*:10~12時間以上の絶食を「空腹時」とする.ただし,水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする.**:スクリーニングで,境界域高LDLコレステロール血症を示した場合は,高リスク病態がないか検討し,治療の必要性を考慮する.