カレントテラピー 33-5 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.5 63治療の進歩4873 スクリーニングとしての診断基準脂質異常症の診断基準は,LDL -Cが中心であることは多くの疫学調査研究のみならず,治療エビデンスのメタ解析から揺るぎのないものとなっている.しかし,これらの治療エビデンスはすべて疾病リスクの高い患者を対象としていることを認識する必要がある.したがって,絶対リスクが高い場合に限って治療を勧めるものであり,決して診断基準がそのまま治療対象となるわけではないことを十分認識されたい.その意味で,表2に示されているように,あえて「スクリーニングのための」という修飾語をつけられている.一方で,特に糖尿病や,脳梗塞既往のような動脈硬化発症リスクの高い一次予防については,より早期からの治療介入が患者予後を改善するという多くの治療エビデンスも発表されてきている.このような状況を鑑み,リスクの高さに応じて判断できる境界域を設定し,場合によっては治療介入も可能な領域として提案された.スクリーニングとしての診断基準の基本であり,より軽度な高LDL -C血症であっても,高リスク病態があれば,より厳格な治療が必要であるとするメッセージと考えていただきたい.4 高リスク病態二次予防患者が高リスク病態であることは言うまでもないが,最近の治療エビデンスでは,さらに踏み込んだ治療が必要であるとする報告が相次いでいる.どのような状態が「高度ハイリスク」であるのか判断したうえで,再発予防のためにはしっかりした管理が必要であることが言及されている.わが国の二次予防患者の観察的研究のエビデンスから,糖尿病などの危険因子をもっている二次予防患者では,少なくともLDL-C 100mg/dL未満は必須として,場合によってはより厳格な治療を考慮することを勧めている.また,糖尿病についても,より厳格な管理が必要な病態が存在することは臨床的には認識されているところであり,細小血管症を有する糖尿病患者ではより厳格に管理目標を達成することを勧めている.Step2:危険因子の評価(冠動脈疾患・非心原性脳梗塞・末梢動脈疾患の既往,糖尿病,CKD,年齢・性別,脂質異常症,高血圧,早発性冠動脈疾患家族歴)Step1:スクリーニング(問診,身体所見,検査所見)Step3:絶対リスクに基づくリスクの層別化Step5:各疾患の管理目標Step7:薬物療法(Step6は継続)Step6:生活習慣の改善(禁煙,肥満対策,食事療法,運動療法など)Step4:リスクに応じた治療指針の決定5A:脂質異常症LDL-C:カテゴリーⅠ:<160mg/dLカテゴリーⅡ:<140mg/dLカテゴリーⅢ:<120mg/dL二次予防:<100mg/dLHDL-C :≧ 40mg/dLTG :<150mg/dL7A:脂質異常症スタチン,陰イオン交換樹脂,小腸コレステロールトランスポーター阻害薬,フィブラート,ニコチン酸誘導体,EPA,プロブコールなど若年・中年者 :<130/85mmHg高齢者(≧65歳): <140/90mmHg糖尿病,CKD,心筋梗塞:<130/80mmHg脳血管障害者 :<140/90mmHg5B:高血圧HbA1c(NGSP) :<6.9%HbA1c(JDS) :<6.5%空腹時血糖値 :<130mg/dL食後2時間血糖値 :<180mg/dL5C:糖尿病5D:その他メタボリックシンドローム肥満症高尿酸血症など7B:高血圧Ca拮抗薬,ARB,ACE阻害薬,利尿薬,β遮断薬など7C:糖尿病SU薬,α-グルコシダーゼ阻害薬,ビグアナイド薬,チアゾリジン薬,DPP-4阻害薬,インスリンなど抗血小板療法(アスピリン)など7D:その他図3 動脈硬化性疾患予防のための包括的リスク管理チャート