カレントテラピー 33-5 サンプル

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62 Current Therapy 2015 Vol.33 No.5486について概説する.1 相対リスクから絶対リスクへ前回までのガイドラインでは,リスク評価を健常者に対する相対的リスクで評価し,患者カテゴリー分類をしてきた.しかし,これでは実際にその個人がもつ疾病リスクの程度(%)については具体的な判断ができないため,患者への説明が十分とはいえなかった.2006年にNIPPON DATA80の疫学調査研究をもとにリスク評価チャートが発表されわが国独自のデータをもとに,個々人のリスクを絶対評価で表現することが可能となった.また,海外のガイドラインでは,すでに米国でもヨーロッパでもこの絶対リスク評価で患者カテゴリー分類がなされている.絶対リスクで表現することにより,世界的標準化が進み,同じ土俵で議論できるようになると思われる.絶対リスクによる患者カテゴリー分類を図2に示した.しかし,絶対リスク以上に重視すべき点は後述する高リスク病態である.一方,絶対リスクの低い患者に対する無用の治療は避けたいというのもガイドライン改訂の狙いのひとつである.2 動脈硬化性疾患の包括的管理動脈硬化性疾患の予防のためには,脂質異常症のほかにも高血圧,糖尿病,喫煙,肥満などの管理を包括的に行うことが重要である.現場の医療では,多くの患者がこれら生活習慣病を併せもっているため,動脈硬化発症予防という観点から,医療者は常に包括的判断を強いられることとなる.『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版』では,初の試みとして関係する各領域の学会からもリエゾン委員が参加し,一見して包括的に管理できるようにそれぞれのガイドラインのエッセンスを織り込んだ動脈硬化性疾患予防のためのフローチャートが提示されている.図3に示したように,動脈硬化発症にかかわる危険因子すべてに配慮した患者管理がきわめて重要であり,年に一度は,このフローチャートに従って,チェックし直すことが患者にとっても大切なことと思われる.この包括的リスク管理チャートは,さまざまな学会も関係していることから,現在,関連学会が集まって,各学会のコンセンサスを得た形で統一したリスク管理チャートが作成されている.2015年4月には一般公開される予定である.年齢60~69(74歳まで準用)年齢50~59年齢40~49*血清コレステロール区分:TCの場合1=160~1792=180~1993=200~2194=220~2395=240~2596=260~279(mg/dL)血清コレステロール区分男性非喫煙収縮期血圧(mmHg)収縮期血圧(mmHg)収縮期血圧(mmHg)非喫煙喫煙喫煙血清コレステロール区分女性<0.5%未満10年間の冠動脈疾患死亡率0.5以上1%未満1以上2%未満2以上5%未満5以上10%未満180~199160~179140~159120~139100~119180~199160~179140~159120~139100~119180~199160~179140~159120~139100~1191 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 61 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 61 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 61 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 61 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 61 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6図2 冠動脈疾患絶対リスク評価チャート(一次予防)NIPPON DATA80のリスク評価チャートより高血糖者の部分は割愛した.また糖尿病やCKD患者などの高リスク状態では,このチャートは用いることはできない.