カレントテラピー 33-4 サンプル

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12 Current Therapy 2015 Vol.33 No.4330などの原因となる筋弛緩作用が少ないために高齢者への使用が推奨されている6).強い不安を伴う不眠患者には,ω1およびω2の両受容体に対し作用するBZ 系薬剤のほうが有効な場合がある.腎機能や肝機能の低下した患者には,活性代謝産物のない薬剤を用いる(表1).メラトニン受容体作動薬であるラメルテオンは,体内時計に働きかけ体内環境を休息に適した状態にすることで自然な睡眠をもたらす.大脳皮質に対する直接的な鎮静作用を持たないため,記憶障害や奇異反応が生じることがなく,反跳現象も起こらない.メラトニン受容体を介した身体的休息に関連した変化としては,末梢からの放熱の増大と深部体温の低下,血圧や脈拍の低下などが特徴的である.こうした身体的休息の兆候が出現するのに投与から,約1時間かかっており,就床前1~2時間前に投与するほうが効果的と考えられる10),11).Ox受容体阻害薬であるスボレキサントは,2014年11 月に世界で初めて本邦で臨床応用が始まった睡眠薬である.Oxは覚醒機構に関する神経系(セロトニン,ヒスタミンなど)のコントロールを司っている神経ペプチドであり,睡眠覚醒機構そのものに作用する薬剤のため,運動機能や認知機能に与える影響が少ないことが予想される.しかしいまだ臨床知見が十分に集積され検討されたとは言えないため,想定外の副作用の出現に注意して使用すべきで,まず初発症例で,合併症がなく,非高齢不眠者から始めるべき薬剤である.不眠症に適応のある漢方薬は抑ヨク肝カン散サン,酸サン棗ソウ仁ニン湯トウ,加カ味ミ逍ショウ遥ヨウ散サンなどさまざまなものがある.筆者は不眠症患者を対象に抑肝散の投与を行い,夜間PSGにて睡眠の不安定性を示すCAP率を低下させたことを報告した12).神経症の適応も併せ持つ漢方も多いため,ストレスや不安を抱える症例,睡眠薬に対する認容性が低い症例,またBZ 系睡眠薬からの離脱時に不眠症に対する認知行動療法(cognitive behavioraltherapy for insomnia:CBTi)と併用するのが有効である.不眠の訴え症状把握・不眠症状の特徴・日中の機能障害休薬トライアル・漸減法・CBTI併用法・過覚醒(不安・抑うつ)・リズム異常(夜型・夜勤)・恒常性異常(午睡過多)不眠の再評価・身体因,環境因,心理要因・その他の睡眠障害(睡眠状態誤認,レストレスレッグス症候群ほか)治療の要否判定睡眠衛生指導有効有効無効無効部分寛解寛解維持薬物療法維持療法再燃休薬治療終了睡眠衛生指導要リスク評価薬物療法1)非ベンゾジアゼピン系睡眠薬2)メラトニン受容体作動薬3)ベンゾジアゼピン系睡眠薬4)催眠・鎮静系抗うつ薬認知行動療法1)刺激制御法2)睡眠制限法3)漸進的筋弛緩法4)認知療法不要図2睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン〔参考文献9)より引用〕