カレントテラピー 33-4 サンプル page 7/32
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カレントテラピー 33-4 サンプル
10 Current Therapy 2015 Vol.33 No.43283 周期性四肢運動障害睡眠中に四肢が周期的にぴくつく不随意運動が出現し,中途覚醒や熟眠障害,日中の眠気が出現する.眠っているため下肢のぴくつきを自覚していない患者が多い.夜間睡眠中の下肢を中心としたぴくつきはベッドパートナーが気付いたり,睡眠ポリグラフ検査(polysomnography:PSG)にて検出される.治療はドパミン受容体作動薬により不随意運動の抑制を行う.4 概日リズム睡眠障害主に若年者にみられる睡眠相後退型は,概日リズムが後退するため,深夜から早朝の時刻にならないと入眠できず不眠を訴えるが,ひとたび眠りにつくとぐっすり眠ってしまい昼頃にならないと起床できない.一方高齢者では,概日リズムの前進により睡眠時間帯が早まってしまい,早朝には目覚めてしまうといった睡眠相前進型がみられる.これら概日リズム睡眠障害では,高照度光療法やメラトニン受容体作動薬により,概日リズムの位相のずれを矯正することが治療の中心となる.Ⅴ 不眠症の治療1 不眠症の治療目的不眠症の治療目的は,質的にも量的にも十分な睡眠を確保して,翌日の日中の健全な精神的・身体的活動を回復することにある5).現在,非薬物療法として注目されているのは,認知行動療法(cognitivebehavioral therapy:CBT)である.これは,薬物療法と併用できるばかりでなく,薬物離脱に際しても有効とされる.また不眠症者との治療関係の確立は治療効果に大きく影響する6).以下に刺激制御法と睡眠制限法について説明する.1)刺激制御法慢性不眠症患者では,床について眠れなかったこれまでの体験や記憶に条件づけられ,床につくとかえって目を醒ますという悪循環が形成されている.それにもかかわらず,几帳面な患者は規則的な就床時刻を保とうと自然な眠気が訪れる前から就床し眠れるのを待つという習慣を持ちやすい.刺激制御法では,こうした条件づけられたパターンを断つために,寝具や寝室は夜間睡眠と性行為以外に使わないようにする.つまり,夜はリラックスして過ごし,眠くなるまでは決して床につかないように指導する.600(分)50040030020010005 10 15 25 35 45 55 65 75 85Sleep LatencyWASOREMSWSStage 2年齢Stage 1図1脳波計を用いた健常者の年齢と睡眠時間Sleep latency:睡眠潜時WASO:中途覚醒時間Stage1:睡眠段階1Stage2:睡眠段階2SWS:徐波睡眠REM:レム睡眠〔参考文献8)より引用改変〕