カレントテラピー 33-3 サンプル page 9/36
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カレントテラピー 33-3 サンプル
12 Current Therapy 2015 Vol.33 No.3230トリ登録患者は,J-RHYTHMレジストリ,心研データベースと比較して,より高齢であった(平均年齢74.2歳vs. 69.7歳vs. 66.4歳,80歳以上の患者率32.1%vs. 16.0%vs. NA).各種併存症の合併率は,軒並み伏見AFレジストリで高率であった.高血圧(60.6%vs. 59.1%vs. 43%),糖尿病(23.2%vs. 18.2%vs.18%),脳卒中/全身性塞栓症(21.9%vs. 14.0%vs.6%),冠動脈疾患(15.0%vs. 10.1%vs. 10%).その結果として,CHADS2スコアは伏見AFレジストリでより高値であった(2.1vs. 1.7vs. NA).J-RHYTHMレジストリでは,CHADS2スコア0~1点の低~中間リスク患者が全体の半分を占め,CHADS2スコア1点の患者数が最多であったことに比べて,伏見AFレジストリでは,CHADS2スコア0~1点が36.9%で,CHADS2スコア2点の患者数が最多であった.このように,伏見AFレジストリ患者は,よりハイリスクであったにもかかわらず,抗凝固薬投与率は圧倒的にJ -RHYTHMレジストリより低かった(50.5%vs.89%).J -RHYTHMレジストリ登録患者は,都心部に住み,比較的若年で併存症も少なく,疾患に対する関心も高く,循環器専門医がしっかりと抗凝固薬管理を行っている,という患者像であるのに比較して,伏見AFレジストリ登録患者では,より高齢で併存症も多く,一般開業医によって管理されているケースも多いが,いろいろな理由で抗凝固療法が行われていないことも多い,という患者像が浮かび上がる.農村部のような,さらに高齢化の進んだ地域においては,一層違った現状があると推察され,同じ日本の国内においてもAFの現状はさまざまに異なっていることが窺われて興味深い.Ⅴ おわりにAFは単一の疾患というよりは,加齢や多くの基礎疾患を背景とした症候群であり,その背景はきわめて多様性に富む.国・人種,地域,時代によってもさまざまに実態は異なっているため,管理・治療方針も患者ごとに個別最適化する必要がある.今後,未曾有の高齢化社会を迎えるわが国において,また脳卒中予防を目的とした抗凝固療法がワルファリンから新規抗凝固薬へ世代交代していく時代の変遷に伴って,AF患者の臨床背景や治療実態がどのように変化し,そして脳卒中をはじめとするアウトカムATRIA Euro HeartSurveyGARFIELDregistryJ-RHYTHMregistry心研データベースFushimiAF registry報告年(文献) 2001(4) 2005(9) 2013(10) 2011(11) 2011(12) 2013(8)対象17,974 5,333 10,614 7,937 1,942 3,183年齢71.2 65 70.2 69.7 66.4 74.2男性56.6% 57.9% 56.8% 68.9% 73% 59.3%CHADS2スコア1.9 1.7 2.09脳卒中/TIA 12.3% 14.4% 14.0% 6% 21.9% 脳卒中8.9% 5.6% 9.7% 19.4%心不全29.2% 33.7% 21.0% 20% 27.9%弁膜症4.9% 26.4% 13.7% 21% 18.1%心筋症11.0% 8.3% 10% 3.0%高血圧49.3% 63.8% 77.8% 59.1% 43% 60.6%糖尿病17.1% 18.1% 22.0% 18.2% 18% 23.2%脂質異常症35.1% 39.2% 42.4%冠動脈疾患34.6% 32.8% 19.2% 10.1% 10% 15.0% 心筋梗塞9.4% 17.3% 10.0% 4% 6.4%末梢動脈疾患7.0% 4.3%慢性腎臓病20.4% 28% 26.4%COPD 13.3% 1.7% 4.9%大出血1.7% 3.5% 2.5%表3心房細動の合併疾患の内訳