カレントテラピー 33-3 サンプル

カレントテラピー 33-3 サンプル page 20/36

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 33-3 サンプル の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 33-3 サンプル

70 Current Therapy 2015 Vol.33 No.3288度運動は心房細動発症リスクに影響を与えなかった.スウェーデンの大規模コホートにおいて,心房細動を発症していない45~79歳の男性44,410人を対象にして,15歳,30歳,50歳,ベースライン時の余暇の運動と日常の移動手段(徒歩or自転車)について検討がなされた4).その結果,週5時間以上の持久運動をする男性は,週1時間以内の男性に比べて,60歳までに不整脈または心房細動を起こすリスクが19%上昇した.特に,30歳時に5時間以上の持久運動をしていたがその後は1時間以内だったものでは,リスクは49%に上昇した.しかし,60歳のときに1時間以上の自転車または早足歩行をしていると心房細動のリスクは13%低下した.若年者の高強度の運動は心房細動の発症リスクを高める一方,年齢が上昇すると発症リスクを低下させることが示された.また,閉経後女性93,676人の約11年の観察期間で心房細動の新規発症を観察した研究では,身体活動レベルが高いほど,また特に肥満者において心房細動リスクを低下させることが示された5).心房細動の発症に関しては,高血圧,糖尿病,肥満,加齢などがリスクファクターとなる.以上の結果から,心疾患患者で特に高齢の患者では,運動は高血圧や糖尿病,肥満などのリスクファクターに良い影響を与え,また心房細動を予防する意味でも運項目内容ランク運動耐容能最高酸素摂取量増加A嫌気性代謝閾値増加A症状心筋虚血閾値の上昇による狭心症発作の軽減A同一労作時の心不全症状の軽減A呼吸最大下同一負荷強度での換気量減少A心臓最大下同一負荷強度での心拍数減少A最大下同一負荷強度での心仕事量(心臓二重積)減少A左室リモデリングの抑制A左室収縮機能を増悪せずA左室拡張機能改善B心筋代謝改善B冠動脈冠狭窄病変の進展抑制A心筋灌流の改善B冠動脈血管内皮依存性,非依存性拡張反応の改善B中心循環最大動静脈酸素較差の増大B末梢循環安静時,運動時の総末梢血管抵抗減少B末梢動脈血管内皮機能の改善B炎症性指標CRP,炎症性サイトカインの減少B骨格筋ミトコンドリアの増加B骨格筋酸化酵素活性の増大B骨格筋毛細管密度の増加BⅡ型からⅠ型への筋線維型の変換B冠危険因子収縮期血圧の低下AHDLコレステロ-ル増加,中性脂肪減少A喫煙率減少A自律神経交感神経緊張の低下A副交感神経緊張亢進B圧受容体反射感受性の改善B血液血小板凝集能低下B血液凝固能低下B予後冠動脈性事故発生率の減少A心不全増悪による入院の減少A(CAD)生命予後の改善(全死亡,心臓死の減少) A(CAD)表運動療法の身体的効果A:証拠が十分であるもの,B:報告の質は高いが報告数が十分でないもの,CAD:冠動脈疾患〔参考文献1)より引用改変〕