カレントテラピー 33-3 サンプル page 17/36
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カレントテラピー 33-3 サンプル
Current Therapy 2015 Vol.33 No.3 37心房細動の治療255たい.2 大出血が懸念される症例大出血が少ない薬剤としてダビガトラン110mgBID,アピキサバン,エドキサバン60mgQDと30mgQDを考慮する.ワルファリンに対するNOACの優越性は,ダビガトランは腎機能のよい症例(>CCr 50mL/分)で,アピキサバンはCCr 80mL/分未満で際立っている.エドキサバンの優越性は2用量はCCrによる影響が少ないことにある.大出血のリスク評価法であるHAS -BLEDスコア3点以上は大出血のリスクが高くなり注意が必要であるが,安易に低用量を選択してはならない.理由として,HAS -BLEDスコアとCHADS2スコアの項目は重複しており,大出血のリスクが高い症例は脳梗塞も起こしやすいためである.またHAS -BLEDスコアが高い症例では,血圧や血糖の十分な管理,過度の飲酒や喫煙を避ける指導,出血が少ない抗血栓薬の選択,抗血栓薬の併用を避けるなど,まずは出血のリスク管理を徹底すべきである.加えて,低用量選択基準の遵守も重要である(表3).特に,リバーロキサバンとアピキサバンは低用量が調整用量であり,低用量そのものの十分なエビデンスはないので安易に低用量を選択することは避けるべきである.3 腎障害を有する症例ダビガトランは腎排出であるためCCr 30mL/分未満が禁忌であることに注意する.他のNOACは15mL/分未満が禁忌である.4 利便性を求める1日1回投与でエビデンスを構築しているのは,リバーロキサバンとエドキサバンである.5 深部静脈血栓症を合併している場合エドキサバンのみが深部静脈血栓症の治療と予防に適応を有している.6 薬価の観点からワルファリンが最も安価である.各抗凝固薬の薬価を表3にまとめる.7 超高齢者超高齢者における各抗凝固薬のエビデンスは十分にはない.とはいえ,大出血が最も懸念されるので,臨床現場では大出血の少ない薬剤が選択されることが多い.加えて,長期処方をできるだけ避けて,診察することや,腎機能や不顕性出血の早期発見を期してヘモグロビンを定期的に測定することが望ましい.8 頸動脈狭窄を合併している場合抗血小板薬では抗凝固薬の代替はできないが,抗表3 NOACの低用量選択基準と薬価一般名ダビガトランリバーロキサバンアピキサバンエドキサバン(販売名) (プラザキサ) (イグザレルト) (エリキュース) (リクシアナ)高用量150mgBID 15mgQD 5mgBID 60mgQD1日薬価545.6円545.6円545.6円758.1円低用量110mgBID 10mgQD 2.5mgBID 30mgQD1日薬価478.6円383.0円298.0円748.1円379.05円(60mg錠分割時)低用量基準減量考慮基準・CCr 30~50mL/分・70歳以上・消化管出血の既往・P糖タンパク阻害薬併用減量基準・CCr 50mL/分未満減量考慮基準・75歳以上かつ50kg以下(Expert opinion)・フルコナゾール,エリスロマイシン,クラリスロマイシン併用減量基準・以下の3項目中2項目以上該当例1)80歳以上2)60kg以下3) 血清クレアチニン値1.5mg/dL以上減量考慮基準・アゾール系抗真菌薬減量基準・60kg以下・CCr 50mL/分以下・P糖タンパク阻害薬併用(キニジン,ベラパミル,エリスロマイシン,シクロスポリン)