カレントテラピー 33-2 サンプル page 27/34
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カレントテラピー 33-2 サンプル
96 Current Therapy 2015 Vol.33 No.2188しかしながら,在宅医療を受ける患者のQOLの評価法は,これまで定まったものがなく,評価が困難であった.現在までに開発され頻用されているQOL評価法には,疾患特異的な評価尺度が多かった.代表的なものは,特に悪性腫瘍などの終末期の状況のQOLを評価するための尺度である.しかしながら,現在のわが国における高齢者の在宅医療においては,悪性腫瘍の終末期だけでなく,慢性疾患を多く抱えてADLが低下したために在宅医療を受けている患者も増えてきている.さらに,高齢者においては,認知症などのために自己の状態を正確に評価し得ない患者も多いのが現実であろう.そこで,今回われわれは,非がん患者も含む在宅医療を受ける高齢者のQOLを評価するための評価尺度を開発することを目指した.さらに,その評価法が,主介護者などの第三者の評価で代用し得るかどうかについても検討した.Ⅴ 在宅医療を受ける患者のためのQOL評価票の作成在宅医療を受ける患者のQOLに関する評価票の作成のために,まず既存の複数のQOL評価法の質問項目を参考にし,在宅医療を行っている医師の意見も聴取したうえで,21の質問項目を選んだ.そのうえで,選択した21項目について55名のケアマネジャーに質問項目の重要度に関するアンケート調査を行った.アンケートとしては,名古屋地区のケアマネジャー研究会において,各質問項目の重要性について,1~5の5段階で評価を依頼した.アンケートによる評価点の合計結果を表1に示す.その結果を基に,上位18項目に絞り込み,さらに再度在宅医療を実施している医師の意見を聴取して項目を見直し,最終的に14項目のQOL評価票を作成した(表2).また,患者のQOLを介護者などの本人以外の第三者によって評価するための評価票として,同様の質問項目を第三者が答えられるような表現に変更したものも同時に作成した(表3).作成したQOL評価票を,67組の在宅医療を受けている患者とその主介護者のペアに実施した.今回の調査については,主治医が,患者・介護者ともに,本調査票への回答が可能と判断したものに限定した.回答について,Cronbachのα係数を求めると,介護者0.791,被介護者0.847とどちらも高く,作成したQOL評価票はおおむね妥当であると考えられた.患者とその主介護者両者の評価の一致率を検討するためにκ係数を算出したが,これは0.015と低い数そう思わないあまりそう思わないどちらともいえないややそう思うそう思う(1)穏やかな気持ちで過ごせている1 2 3 4 5(2)人として大切に扱われていると感じている1 2 3 4 5(3)充実した人生だったと感じている1 2 3 4 5(4)体の苦痛がなく過ごせている1 2 3 4 5(5)楽しみになるようなことがある1 2 3 4 5(6)家族,友人との時間を十分に持てている1 2 3 4 5(7)思い出やこれからのことを話す相手がいる1 2 3 4 5(8)おいしく食べられるものがある1 2 3 4 5(9)医師・看護師・療法士を信頼している1 2 3 4 5(10)望んだ療養場所で過ごせている1 2 3 4 5(11)落ち着いた環境で過ごせている1 2 3 4 5(12)トイレには困っていない1 2 3 4 5(13) 今の病状ならば入院するよりも在宅生活を続けたいと思う1 2 3 4 5(14) 介護サービスや在宅診療(看護)に満足している2 2 3 4 5 表2QOL評価票(本人用)