カレントテラピー 33-2 サンプル

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76 Current Therapy 2015 Vol.33 No.2168『Aging in Place(弱っても安心して住み慣れた地域で)』というモットーを掲げ,課題解決型の実証研究(アクションリサーチ)を展開している.また,東京大学医学部に「在宅医療学拠点」を新設した(現責任者:山中崇特任准教授).本拠点は未来に向けての医療研究人材養成を視野に,特に在宅医療という点に焦点を合わせ,教育・研究・臨床の3本柱に注力する組織とした(図1).その両組織がタイアップする形で,地域医療の軸となる在宅医療の推進活動を行い,特に千葉県柏市における柏モデルをつくり上げている.その多岐にわたる活動のなかで,特に段階別教育・研修システムを実施している.すなわち真の地域包括ケアシステムを達成すべく,その推進活動が点から面へと展開するように,すでに働いている専門職に対する多職種連携研修(On the Job研修)も行いつつ,後述する医学部生への参加型の早期教育も実施している.Ⅶ 早期卒前教育としての『地域医療学実習』:東京大学の取り組み医学部教育の臨床実習において,大学病院の高度先進医療の現場だけではなく,医療の対極にある在宅医療を中心とした地域医療の現場,そして多職種連携の姿を実体験し学ぶことは非常に重要であり,有効な実習が求められる.それらは,わが国の今後の医療を担う次世代の医療人育成において最低限の基礎知識(minimum requirement)であると考えられる.また,それらの実習をいかに早期に(earlyexposure),そしていかに現場で参加しながら教育できるのかが重要になってくる.その意味で,医育機関の担っている使命は非常に大きい.まず学ぶべきことは,以下のポイントについて現場のさまざまな光景をしっかり目に焼き付け体得することが必要である.①地域を広くみる(診る・看る)視点をもちながら,患者を病人ではなく生活者としてみる.②在宅医療を中心とする地域ケアは,どのような多くの職種により構築されているのかを実感する.③多職種連携・多職種協働やチーム医療のあり方を考える.④在宅医療,訪問診療について説明でき,病院医療と在宅医療の違いを知る.⑤高齢者総合的機能評価(comprehensive geriatricassessment:CGA)を経験するとともに,その意義を理解する.われわれ東京大学では,柏モデルで構築された地区医師会主導の在宅医療の体制をベースにおき,「大学-地域間連携」を基盤として医学部5~6年生の新しい参加型臨床実習(クリニカルクラークシップ)の一環として,2013年から多くの医療介護現場のスタッフが協働した形でカリキュラムを作成し取り組んでいる.表に示すように2週間を費やす実習プログラムであるが,そのなかには在宅医療に携わる医師への診療同行だけではなく,他の職種(訪問看護や訪問リハビリ,ケアマネジャー,地域中核病院のソーシャルワーカー等)の同行,退院時共同指導や地域ケア会議などへの積極的参加も行っている.また,面白い取り組みとして『‘模擬’サービス担当者会議』も行っている.これは2週間の実習のなかで1週目の最終日に実施しており,1グループ6名の学生がさまざまな職種の役および介護者(患者様の奥様)役となり,1つのケース(例:78歳男性の退院後1週間時点)をベースとして「情報共有・課題抽出・対応方法」などについて学生同士で話し合っている.さらに,最終振り返りとして,柏市の地域高齢者住民に向けての発表およびワールドカフェ型のディスカッションも取り入れている(図2).本実習に在宅医療を担う医師だけでなく,他の職種の実習を盛り込むことの意義と利点としては,以下のようなことが考えられる.