カレントテラピー 33-2 サンプル

カレントテラピー 33-2 サンプル page 18/34

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 33-2 サンプル の電子ブックに掲載されている18ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 33-2 サンプル

Current Therapy 2015 Vol.33 No.2 73165Ⅰ はじめにわが国では超高齢化を目前にし,現在,地域で住民が安心して暮らすための基盤として「地域包括ケアシステム」の構築が求められている.この日本国の見据える方向性は,今までの病院完結型医療から地域完結型医療への大きなパラダイムシフトを目指すところから始まる.当然ながら,この推し進める方向性には在宅療養(医療・ケア)を軸とする地域医療を担う多くの職種が「患者である前に生活者なのである」という概念を下に,どのようにチームビルディングをつくれるのかに大きくかかっている.Ⅱ 今後の日本が求める若手医療人材像とは世界のフロントランナーとして急速な高齢化をたどっているわが国の現状を踏まえ,次世代を担う若手医療人を育成する場である「大学(アカデミア)」が医学早期教育を通してどのようなスタンスで向き合うのか,大きな分岐点に差し掛かっていると言っても過言ではない.すなわち,今後の日本が求める若手医療人材像,そして育成すべき若手医療人材像はどのようなものなのかを明確にする必要がある.しかし,地域医療(特に在宅医療)を視野に入れた医学早期教育に関しては全国の多くの大学が近年取り組み始めてはいるが,その教育を魅力あるものとし,さらに十分な効果を生み出すべく機能させることはまだまだ不十分である.この原因のひとつと* 東京大学高齢社会総合研究機構准教授治し支える医療としての在宅医療の現状と展望医学部における在宅医療早期教育飯島勝矢*世界のフロントランナーとして急速な高齢化をたどっているわが国の現状を踏まえ,そこに次世代を担う若手医療人を育成する場である「大学(アカデミア)」がどのようなスタンスで向き合うのか,大きな分岐点に差し掛かっている.われわれは大学-地域間連携の基盤を踏まえた地域医療における多職種協働での参加型医学教育に取り組んでいる.医学教育において,病院医療から見れば対極にある在宅医療を中心とした地域医療の現場をより早期から有効的に教育に組み込むべきであり,それを通じて従来の「治す医療」ではなく,『治し支える医療』という概念の重要性を改めて認識して欲しい.それは医学生のminimum requirementとしての知識を植え付けることにもつながる.生活臨床という基本概念の下,バランスの取れた医学教育システムを構築し,数多くの大学・医育機関とも「より早期から,もっと現場を」という新たな医学教育改革に臨む必要がある.