カレントテラピー 33-11 サンプル page 16/32
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カレントテラピー 33-11 サンプル
Current Therapy 2015 Vol.33 No.11 391089線量を集中的に照射する治療法である.従来の放射線療法と比較し,周囲の正常組織への照射線量をできる限り抑えながら,腫瘍に対し大線量を短期間で照射することが可能である.この技術により,局所制御の向上と周囲組織の有害事象の低減が可能となった.定位放射線照射は,1回照射で行う定位手術的照射(stereotactic radiosurgery:SRS)と分割照射で行う定位放射線治療(stereotactic radiotherapy:SRT)に分類できる.定位放射線照射を行う際には,照射中心の固定精度が脳・頭頸部で2mm以内,体幹部で5mm以内であることを,照射ごとに確認することが必須である.2 定位手術的照射(SRS)SRSを行う治療装置としてはリニアックのほかに特殊装置としてガンマナイフやサイバーナイフなどが挙げられるが,臨床で最も用いられている装置はガンマナイフである.ガンマナイフは,スウェーデンの脳神経外科医レクセル博士により1960年頃に考案された治療装置で,201個のコバルト線源が照射ユニットに5列,円周状に配置され,放出されるガンマ線を一点に集中させることにより小さな高線量域を作成する.現在は,さらに最新型のガンマナイフが開発されている.主な適応疾患としては,脳腫瘍(転移性脳腫瘍,聴神経腫瘍,髄膜腫,下垂体腺腫など),脳血管障害(脳動静脈奇形など),三叉神経痛などが挙げられる.本邦においては,転移性脳腫瘍の治療に用いられることが最も多い.多発脳転移であっても,1~4個程度までで,最大3cm以内の症例では,PSが良好,原発巣がコントロールされているなどの条件を満たせば,SRSの適応となり,18~25Gyの照射で,8~9割程度の局所制御が得られる.3 体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiation therapy:SBRT)1990年代に入り,SRSの技術が早期肺癌などの体幹部腫瘍に応用されるようになった.この技術を体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiationtherapy:SBRT)と呼称し,近年急速に普及している.主な適応疾患としては,直径5cm以内の原発性肺癌,原発性肝癌,直径5cm以内かつ3個以内で他病巣のない転移性肺癌,転移性肝癌などが挙げら(a) (b)図1 右肺癌に対する体幹部定位照射の治療計画a:8門のビームで多方向からの照射を行う.b: 実際の線量分布図.