カレントテラピー 33-10 サンプル

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38 Current Therapy 2015 Vol.33 No.10982遅い時期に治療を開始した群より,その後の経過を通してUPDRSスコアがより低いまま維持されることが示されている.Ⅷ L-dopaへの回帰L - dopaの開発からちょうど半世紀の今日,L -dopaの再評価が進んでいる,Movement Disordersジャーナルでは,2015年1月にL-dopaに関するspecial issue『L-dopa:50 years of a revolutionarydrug for PD』が刊行され,2015年にSan Diegoで開催された国際MDSの年次集会では,25周年のanniversarymoodとともに,L -dopaへの回帰をうたうセッションや発表が目立った.そのturning pointのひとつは,最新の技術革新を背景とした薬剤投与経路の開発であろう.現在,徐放製剤(内服)15),空腸上部への経管持続投与(L -dopa carbidopa intestinalgel)16),腸管の能動輸送を可能にしたL -dopaprodrug17), 貼付剤形(skin - surface portablepump),L-dopa吸入薬などのさまざまな剤形の開発が進んでいる.Ⅸ 神経保護・疾患修飾作用のある薬剤の開発PDはこれまで運動疾患という面のみから,その治療も運動症状の改善,すなわちドパミン補充療法に主眼がおかれてきた.しかし,非運動症状を含めたmultisystemの病態として疾患の全体像を見れば,ドパミン神経系を超えて広がり,ノルアドレナリン系やセロトニン系などのモノアミン系,さらにアセチルコリン系へ神経変性が及んでいる.これらの神経変性から生じる非運動症状が患者の視点からは,大きな問題点となっている.その治療には,レビー小体病理,またα -synucleinopathyへの本質的な治療薬の開発が望まれる.PD患者の最大のアンメット・ニーズであり,今後の治療の更なる次元への発展を期待したい.Ⅹ おわりにJames Parkinsonは約200年前に「(病気の)真の原因が確かめられ,症状の軽減や病気の治癒の方途さえも明らかにされる日が必ずや訪れるであろう」と記した.しかし今,目の前のPD患者に対して行われている対症療法,すなわち“適切な時期”に“適切な薬剤と用量”によるドパミン補充療法を中核とした薬物療法のメリットは,きわめて大きいことを再認識すべきであろう.0 12 24 36 42 48 54 60 66 72投与前週-3-1-2024351疾患修飾効果の可能性運動症状の変化量(UPDRS)改善増悪ラサギリン,1mg/日Delayed start群(プラセボ-ラサギリン)Early-start群(ラサギリン-ラサギリン)図4ADAGIO study〔参考文献14)より引用改変〕