カレントテラピー 33-10 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.10 33977Ⅰ レボドパは,next stageへ─L - dopaからL - dopaへ─レボドパ(L -dopa)療法の登場から半世紀を迎えた現在,L-dopaは新たな展開を遂げようとしている.L-dopaの投与方法が,最新の製剤技術の革新を背景に大きく転換しつつある.L -dopa療法は,開発から今日に至るまで,常にパーキンソン病(Parkinson’sdisease:PD)薬物療法の中核,ゴールドスタンダードとして,揺るぎない地位を維持してきたことはいうまでもない.しかしながら,PD初期治療のfirst lineとしてのpositionに関する議論,またドパミン補充療法としてのL -dopa補助薬の充実など,L -dopaの位置づけは若干の変遷をたどってきたことも否定できない.そして現時点で,再度,新規の投与方法を背景に見据えつつ,L -dopaの見直しの機運が高まっている(図1).本稿ではL -dopaを中心に,PDの薬物療法に対する考え方の変遷を概説したい.Ⅱ プレ・レボドパ時代L -dopa以前のPDに対する薬物療法として,最も歴史が古いものは抗コリン薬である.まず1860年代にアトロピン,その後スコポラミンが使用された.トリへキシフェニジル(アーテンR)は,1949年に副作用の少ない抗コリン薬として開発され,現在に至る長い歴史をもっている.しかしながら,幻覚・妄想,口渇,流涎,悪心・食欲低下など,副作用も少なくない.さらに近年,PDにおけるclinical milestoneのひとつとして認知機能低下が重視され,また病理学的に同じレビー小体が出現するレビー小体型認知症(dementiawith Lewy Bodies:DLB)におけるコリン作動性神経の高度の障害から,本剤の使用に関して慎重論が* 埼玉医科大学神経内科教授パーキンソン病の治療─ 変貌する概念と治療戦略薬物療法の考え方の変遷高橋一司*パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)薬物療法の中核,ゴールドスタンダードとして,今日まで常に揺るぎない地位を維持してきたのは,L-dopaである.一方,ドパミンアゴニストは,L-dopaと比較して作用時間が長く,持続的で安定したドパミン刺激(continuous dopaminergicstimulation:CDS)の治療戦略の騎手として,大きく注目された.その臨床試験は新規の薬剤ほど厳密で,丁度エビデンスレベルを重視する医療全体の大きな潮流を背景に,グレードの高いエビデンスに直結した.PD初期治療のfirst lineとしてのpositionに関する議論,またドパミン補充療法としてのL-dopa補助薬の充実など,L-dopaの位置づけは若干の変遷をたどってきたことも否定できない.そしてL-dopa療法が半世紀を迎えた現在,再度,その投与方法が,最新の製剤技術の革新を背景に大きく転換し,L-dopaの見直しの機運が高まっている.