カレントテラピー 33-1 サンプル

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10 Current Therapy 2015 Vol.33 No.110コースを取り込む2),3()図1A).このようなNa+勾配を利用する輸送も能動輸送であり,アデノシン三リン酸(ATP)を直接利用する輸送が一次性能動輸送と呼ばれるのに対して,Na+勾配を利用するものは二次性能動輸送と呼ばれる7).これはNa+勾配は,一次性能動輸送を行うNa+/K+ATPaseがつくったものであるためである.したがって,SGLTも間接的にATPの消費に依存している.SGLTによって上皮細胞内に取り込まれたグルコースは,側底膜のGLUTによって受動輸送により上皮細胞から放出され血管側へ移行する.小腸では,単一の輸送システムが空腸から回腸にわたって存在すると考えられているが,腎臓はより複雑であり,2つの性質の異なる糖取り込み機構がSGLT2 SGLT1GLUT2 GLUT1/2近位曲尿細管(S1) 近位直尿細管(S3)尿細管上皮細胞管腔側血管側ANa+ 2Na+Na+ Na+K+Na+/K+-ATPaseK+Na+/K+-ATPaseADP ATP ADP ATPグルコースグルコースS1S2S3近位曲尿細管SGLT2約90%約10%近位直尿細管SGLT1グルコース再吸収糸球体集合管遠位尿細管SGLT2低親和性高容量Glc:Na+=1:1SGLT1高親和性低容量Glc:Na+=1:2B図1 腎近位尿細管でのグルコース再吸収A:近位曲尿細管の管腔膜にはSGLT2,側底膜にはGLUT2がある.近位直尿細管には,管腔膜にSGLT1があり,側底膜にGLUT1およびGLUT2がある.さらに側底膜にはNa+/K+ -ATPase(Na+ポンプ)があり,SGLTによって取り込まれたNa+を血液側へ汲み出している.B:近位曲尿細管(S1セグメント)において,糸球体濾過されたグルコースの約90%が再吸収され,残りの約10%は近位直尿細管(S3セグメント)で再吸収される.〔参考文献17)より引用改変〕