カレントテラピー 33-1 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.1 99Ⅱ SGLTとGLUT糖輸送体は,前述のようにGLUTとSGLTからなるが,それぞれに多くのサブタイプがある.GLUTは,トランスポーターの分類ではSLC2ファミリーに属し,今のところ14のサブタイプが明らかになっているが,これらは3つの大きなサブクラス(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ)に分類される1).クラスⅠには,細胞のグルコース取り込みに特に重要な役割を果たすGLUT1,GLUT2,GLUT3,GLUT4が含まれている.GLUT1は,ほとんどすべての細胞でのグルコース取り込みに関わっており,血液脳関門の糖輸送を担い,がん細胞にも高発現する.GLUT2は,腎尿細管上皮や小腸上皮などの吸収上皮の側底膜,さらに肝細胞や膵β細胞に存在し,グルコースとともにガラクトースやフルクトースも輸送する.GLUT3は,神経細胞と胎盤に存在する.GLUT4は,脂肪組織や骨格筋,心筋に存在し,インスリンにより細胞膜へ移行し,インスリン感受性の糖の取り込みを担う1).クラスⅡには,主要なフルクトース輸送体として知られるGLUT5が含まれる.GLUT5は小腸上皮および腎尿細管上皮の管腔膜にあり,フルクトースの取り込みを担う.クラスⅡ,Ⅲには,機能的役割がいまだ明らかになっていないものや糖以外の基質を輸送するものが多く含まれている1).SGLTファミリーは,12の輸送体からなるが,そのうち糖輸送体はSGLT1~5である2)~4()表1).SGLT6は,SGLTの名称が与えられているもののSMIT2とも呼ばれ,ミオイノシトールの輸送体であり,糖は輸送しない(表1).SGLT1は,前述のように小腸と腎近位尿細管の上皮細胞の管腔膜に存在するほか,心臓や骨格筋にも発現し,さらにがん細胞にも発現するものがあることが知られている.SGLT2は,腎臓特異的に発現し,近位尿細管の管腔側に存在する.加えて,最近SGLT2が膵α細胞に発現する可能性が示唆された5).これは,詳細な発現解析により検証する必要はあるにせよ,SGLT2阻害薬によるグルカゴン変動との関連で興味深い6).SGLT3は,ブタやラットでは糖輸送体であるが,ヒトではSGLT3はグルコースを結合するが輸送しない.しかしグルコース結合時に共役するNa+は輸送するため起電性であり,グルコースが結合することでNa+が輸送されて,細胞膜の脱分極を起こす.これが腸管神経叢の自律神経終末に存在することから,グルコースセンサーとして機能すると考えられている.SGLT4は腎臓や小腸を含み複数の臓器に分布し,SGLT5は腎皮質に限局して発現するが,これらは少なくとも正常時では腎尿細管での糖再吸収における寄与は小さいものと想定され,その生体内での役割は明らかにされていない2),3).Ⅲ 腎尿細管と小腸での糖の上皮輸送腎尿細管や小腸上皮からの糖の吸収においては,尿細管上皮細胞や小腸上皮細胞の管腔膜にSGLTがあり,SGLTがまずNa+勾配を利用して能動的にグルサブタイプ輸送基質発現の組織分布役割SGLT1 グルコース,ガラクトース小腸,気管,心臓,腎臓(S3分節)グルコース/ガラクトース吸収,グルコース再吸収SGLT2 グルコース腎臓(S1/S2分節) グルコース再吸収SGLT3 Na+ 小腸,肺,子宮,精巣,腎臓(近位尿細管)グルコース依存性Na+輸送体,グルコースセンサーSGLT4マンノース,グルコース,フルクトース,1,5-アンヒドロ-D -グルシトール小腸,肺,肝臓,膵臓,腎臓1,5-アンヒドロ- D -グルシトール,マンノーズ,フルクトース輸送体SGLT5 グルコース,ガラクトース腎臓(腎皮質) Na+依存性糖輸送体SGLT6 ミオイノシトール,キシロース脊髄,脳,小腸,腎臓(皮質および髄質)ミオイノシトール輸送体表1SGLTサブタイプ〔参考文献4)より引用改変〕