カレントテラピー 33-1 サンプル page 29/34
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カレントテラピー 33-1 サンプル
Current Therapy 2015 Vol.33 No.1 69治療薬解説69し,インスリン分泌を刺激するインクレチン関連薬(DPP -4阻害薬やGLP -1受容体作動薬)を併用することで,SGLT2阻害薬によるEGPの増加を阻止し,血糖降下・体重減少をさらに増強させられる可能性があることが示唆される.インクレチン関連薬とSGLT2阻害薬の併用は,今後さらなる臨床研究が待たれるところである.その他薬剤としては,海外で行われた未治療例を対象としてメトホルミン,ダパグリフロジンの単剤あるいは併用した臨床試験において,メトホルミン群,ダパグリフロジン群単剤にて体重減少を認めたが,メトホルミン+ダパグリフロジン併用群では単独群よりも体重減少作用が増強し低血糖リスクも上昇しなかった.そのため,体重減少の観点から,メトホルミンとSGLT2阻害薬の併用は優れた組み合わせである可能性も示唆される10).その他,体重増加が懸念されるSU薬,チアゾリジン薬,インスリン製剤との併用時においても体重減少が認められている.一方,注意すべき併用薬としては,インスリン製剤やSU薬,グリニド薬である.SU薬の併用にて約10%に,グリニド薬との併用にて約5%に低血糖を引き起こすことが報告されている.また,インスリン量を変えずに同薬剤併用時には低血糖リスクが増すと考えられる.しかし,内因性のインスリン分泌能が保たれている症例には,SGLT2阻害薬を併用することでインスリン投与量の減量が可能と考えられ,基礎インスリンと併用する経口血糖降下薬としての有用性が示唆される.低血糖リスクを減少させ,体重減少を期待する観点からは,メトホルミンやインクレチン関連薬,α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)との組み合わせが期待できると考えられる.SGLT2阻害薬により低血糖を回避しながら血糖コントロールを良好に維持できる患者が増えることを期待したいところである.Ⅳ おわりにSGLT2阻害薬はインスリン作用を介さない新規の経口血糖降下薬である.単独でも併用でも有用性が示されていることから,今後,わが国における糖尿病の薬物治療はその選択肢が広がっていくと考えられる.本薬剤の特徴としては,低血糖リスクが低く,体重減少効果を期待できるため,患者の動機づけも高まる薬剤であると考えられる.現在,2型糖尿病患者への第一選択薬はメトホルミンとなっているが,本薬剤の登場により,肥満2型糖尿病患者への選択肢が増えたわけではあるが,どのような位置づけにするべきなのか,ファーストラインとしての可能性についても今後十分に検証される必要がある.一方で,併用薬に関しては日本糖尿病学会よりSU薬等のインスリン分泌薬,特にインスリンに関しては低血糖に注意するよう記されているが,ガイドラインはいまだ確立していない.今後,実臨床における有効性を確認しつつ,本薬剤がより効果的に使用できる患者や併用薬剤,また安全性について検討していくことが重要であると考えられる.参考文献1) 川浪大治,宇都宮一典:SGLT(ナトリウム/グルコース共輸送担体)とは;SGLT2阻害薬入門.(宇都宮一典編)p10-17,診断と治療社,東京,20142) Bailey CJ:Renal glucose reabsorption inhibitors to treat diabetes.Trends Pharmacol Sci 32:63-71, 20113) Rahmoune H, Thompson PW, Ward JM, et al:Glucose transportersin human renal proximal tubular cells isolated fromthe urine of patients with non-insulin-dependent diabetes.Diabetes 54:3427-3434, 20054) Kaku K, Kiyosue A, Inoue S, et al:Efficacy and safety ofdapagliflozin monotherapy in Japanese patients with type 2diabetes inadequately controlled with diet and exercise.Diabetes Obes Metab 16:1102-1110, 20145) Inagaki N, Kondo K, Yoshinari T, et al:Efficacy and safetyof canagliflozin in Japanese patients with type 2 diabetes:Arandomized, double -blind, placebo -controlled, 12-weekstudy. Diabetes Obes Metab 15:1136-1145, 20136) 加平浩平,高野泰樹,池谷泰明ほか:新規SGLT2阻害薬Tofogliflozinの日本人2型糖尿病患者における有効性及び安全性の検証-第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験結果.糖尿病 56(suppl 1):S238,20137)Kashiwagi A, Takinami Y, Kazuta K, et al:Ipragliflozinimproved glycaemic control with additional benefits of reductionsof body weight and blood pressure in Japanese patientswith type 2 diabetes mellitus:BRIGHTEN Study. Diabetologia54(suppl 1):S68, 2011(Abstract 149)8)Seino Y, Sasaki T, Fukatsu A, et al:Luseogliflozin(TS-071),a selective SGLT2 Inhibitor, improves glycemic control and