カレントテラピー 33-1 サンプル

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68 Current Therapy 2015 Vol.33 No.168Ⅲ 併用薬の可能性日本糖尿病学会では,2型糖尿病患者の病態に合わせて治療薬を選択することを推奨しており,経口血糖降下薬をインスリン抵抗性改善系,インスリン分泌促進系,糖吸収・排泄調節系の3つのカテゴリーに分類しているが,SGLT2阻害薬は,その作用機序から糖吸収・排泄調節系に分類される(図3)18).治療選択肢としてさまざまなタイプの血糖降下薬の特徴をまとめる(表).SGLT2阻害薬は低血糖リスクが低く体重減少効果について他剤と比較すると,有意に効果的であると考えられる.現在,SGLT2阻害薬はインスリン療法を含めすべての経口血糖降下薬との併用が認められている.各々の薬剤での併用試験において,血糖降下作用は示されており,いずれの薬剤との併用においても,HbA1cは?0.7~?0.9%の低下が認められている.これらの薬剤のなかでも,特にインクレチン関連薬の併用が有効な可能性が示唆される.なぜならば,SGLT2阻害薬投与によりグルカゴン分泌が上昇する19)ことで,肝臓からの糖新生を亢進させ内因性グルコース放出(Endogenous Glucose Production:EGP)を増加させることが報告されたためである.本研究においてはダパグリフロジン服用により,糖新生亢進に伴いEGPが増加するため,尿中に排泄されたグルコース量と増加したEGPを差し引くと,実際に消費することのできたグルコース量は約半分に低下していたが,このEGPの上昇が抑制された場合,グルコース消費量は約2倍になる.つまり,SGLT2阻害薬の尿糖排泄亢進に伴い代償性にグルカゴン分泌および糖新生が亢進するため,グルカゴンを抑制2型糖尿病の病態経口血糖降下薬インスリン作用不足食後高血糖空腹時高血糖機序種 類主な作用ビグアナイド薬チアゾリジン薬スルホニル尿素薬(SU薬)速効型インスリン分泌促進薬:グリニド薬DPP‐4阻害薬α‐グルコシダーゼ阻害薬(α‐GI)SGLT2阻害薬腎での再吸収阻害による尿中ブドウ糖排泄促進炭水化物の吸収遅延・食後高血糖の改善血糖依存性のインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制より速やかなインスリン分泌の促進・食後高血糖の改善肝臓での糖新生の抑制骨格筋・肝臓でのインスリン感受性の改善インスリンインスリン分泌の促進分泌能低下+糖毒性改善系インスリン抵抗性促進系インスリン分泌高血糖インスリン抵抗性増大排泄調節系糖吸収・図3病態に合わせた経口血糖降下薬の選択SGLT2阻害薬はα-GIと同様に糖吸収・排泄調節系に分類される新規薬剤である.〔日本糖尿病学会編・著:糖尿病ガイド2014-2015.p29,文光堂,東京,2014より引用改変〕種類ビグアナイド薬チアゾリジン薬DPP-4阻害薬SU薬グリニド薬α-GIインスリンSGLT2阻害薬HbA1c低下効果◎ ○ ◎ ◎ ○ ○ ◎ ◎空腹時血糖改善効果◎ ◎ ○ ◎ △ △ ◎ ◎食後血糖改善効果○ ○ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎低血糖リスク低い低い低い高いやや低い低い高い低い体重± ++ ± ++ + ± + ?表血糖降下薬の特徴SGLT2阻害薬は低血糖リスクが低く空腹時・食後血糖ともに改善効果を有する.他剤と比較して大きな特徴は体重減少効果があることである.◎:優れた効果が期待できる◯:ある程度効果が期待できる△:効果が期待できない