カレントテラピー 33-1 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.1 6565の閾値を下げ,尿中のグルコース排泄を増加させることによって血糖値が低下する.Ⅱ SGLT2阻害薬の特徴と効果1 血糖低下作用と低血糖リスク糖尿病はさまざまな要因が絡む複雑な疾患であり,インスリン抵抗性やインスリン分泌能低下が病因と関連している.これに対して,SGLT2阻害薬はインスリン非依存的に尿糖排泄閾値を低下させ,尿糖排泄を増加させることで,血糖を低下させるため,低血糖リスクが低く,体重を減少させる効果もあることから,単独でも他の薬剤との併用でも使用しやすい特徴をもつ薬剤と考えられる.SGLT2阻害薬におけるこれまでの国内臨床試験では,プラセボと比較して空腹時血糖値の低下効果は?15~?40mg/dL程度,食後血糖値の低下効果は?50~?70mg/dL程度,HbA1c低下効果はプラセボと比較して単独投与で?0.5~?1%程度4)~8)と報告されている.SGLT2阻害薬は,薬剤投与開始前の血糖管理状況によりその血糖低下効果は異なり,開始前のコントロールが不良(血糖値が高い症例)であるほどその効果は高いと考えられる.空腹時血糖値のみならず,食後血糖値も改善する効果があり,夜間低血糖のリスクが低く,内服量を増量したとしても,低血糖出現リスクの増加は少ないと考えられる9).海外にて未治療例を対象にメトホルミン単独,ダパグリフロジン単独で比較した臨床試験では,低血糖発現率はメトホルミン群0%および3.3%であったのに対し,ダパグリフロジン5mg群0%,10mg群0.9%とダパグリフロジン群で低血糖発現が抑制された10).また,メトホルミン効果不十分例を対象にカナグリフロジンとシタグリプチンを比較した海外の第Ⅲ相試験では,52週の試験期間における低血糖発現率はカナグリフロジン100mgおよび300mg群では6.8%であったのに対し,シタグリプチン100mg群で4.1%であった11).これらの結果から,SGLT2阻害薬の低血糖発現率はメトホルミンやDPP -4阻害薬と同程度に低いと考えられる.2 体重減少効果SGLT2阻害薬の大きな特徴のひとつとしては体重減少作用が挙げられる.既存の血糖降下薬の多くは血糖コントロールを改善させる一方で体重増加をきたし,その結果インスリン抵抗性が増すために長期的な血糖コントロールを維持することが難しくなるというジレンマを抱えていた.種類によりばらつきはあるが,SGLT2阻害薬の各種海外の臨床試験においては?1~?5kgの体重減少が認められた.カナグリフロジンでの海外における肥満症例への単独投与においては投与開始直後から6週目にかけて体重減少を認め,26週までの観察で?2.5kgの体重減少を認めた12).また併用症例においても,メトホルミンとスルホニル尿素(SU)薬を併用している2型糖尿病患者(18歳以上,HbA1c 7.0~10.5%,756例)に対して,シタグリプチン100mg投与群とカナグリフロジン300mg投与群に無作為に割り付け52週間観察を行った.その結果,シタグリプチン群では体重減少を認めなかったが,カナグリフロジン群において単独投与時と同様に投与開始直後から6週目にかけて徐々に体重減少を認め,52週の観察終了まで,安定した体重減少を認めた(図1)13).以上の結果より,単独投与においてもその他血糖降下薬との併用においても体重減少が期待できる薬剤と考えられる.体重減少の機序としては,初期には浸透圧利尿に伴う体液減少が関与しているが,長期的にはエネルギー喪失が寄与していると考えられる.SGLT2阻害薬は1日70~100g(280~400kcal)前後の糖(エネルギー)の尿糖排泄が促進するため,エネルギー喪失に伴う脂肪分解が体重減少につながるものと考えられている.その他に,糖質喪失に伴う糖新生の亢進から,骨格筋のアミノ酸や脂肪組織のグリセロール,および脂肪酸がその基質として動員され,筋肉・脂肪重量が減少することも一因と考えられる14).3 その他の効果その他の効果としては,SGLT2阻害薬投与後,収縮期血圧(SBP)で5mmHg程度までの低下が報告