カレントテラピー 33-1 サンプル

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58 Current Therapy 2015 Vol.33 No.158ていることが明らかになってきている12),13).SGLT2阻害薬は尿糖排泄増加伴う浸透圧利尿により,尿中の尿酸排泄が増加し血清尿酸値が低下すると考えられている.また,尿細管中のグルコース濃度上昇の結果,GLUT9によるグルコース?尿酸の対向輸送系が亢進し,尿酸排泄が増加している可能性も考えられている9).しかし,尿酸代謝に関しては,まだ不明な点が多く,尿酸と高血圧,糖尿病との関連についても,さらなる研究が望まれる.5 心血管イベントへの影響SGLT2阻害薬がもつ多面的作用は心血管保護につながる可能性があると考えられる.糖尿病の通常治療にダパグリフロジンを追加投与することでリスクを軽減できるかをphase3の臨床試験およびNHANESのデータを利用してシュミレーションした場合,細小血管障害,大血管障害(心筋梗塞,脳血管障害など)ともに20年間で8~10%前後減少すると報告されている14()図3).一方,SGLT2阻害薬の投与初期には,浸透圧利尿により脱水(ヘマトクリットの上昇)を生じ,動脈硬化の進行している患者では,脳血管障害をきたす危険性も考えられる.米国食品医薬品局(Food andDrug Administration:FDA)からカナグリフロジンを使用した大規模臨床試験であるCANVAS試験の投与初期30日以内の心血管イベントの発生増加傾向があることが報告されており15),投与初期にはときに注意深く観察する必要があると考えられる.現在,心血管イベントへの影響を一次エンドポイントとしたSGLT2阻害薬を用いた3つの臨床試験が進行中である.その結果が待たれるところである(表3).Ⅳ おわりに心血管イベントの発症には,高血糖のみならず血圧,脂質など多くの危険因子が存在し,危険因子の数が多いほど発症頻度が高くなる.過去には血圧,脂質,血糖の厳格なコントロール,喫煙,運動指導を含めた生活習慣の是正,さらには抗血小板薬の投与など,包括的な管理を行うことで微量アルブミン尿合併の2試験名薬剤名参加人数(人) 状況追跡期間(年)CANVAS カナグリフロジン4,400 2009年11月開始~4EMPA-REGOUTCOMEエンパグリフロジン7,000 2010年開始~4DECLARE-TIMI58 ダパグリフロジン17,150 2013年開始~6表3SGLT2阻害薬における心血管アウトカム評価試験の現状〔先端医学社「SGLT2阻害薬のすべて」より作図〕-20-18-16-14-12-10-8-6-4-20(%)心筋梗塞脳卒中心血管死全死亡末期腎不全下肢切断網膜症図3SGLT2阻害薬は脳血管障害リスクを低下させるか?ダパグリフロジン投与の発症抑制効果(20年間)通常治療にダパグリフロジンを追加にてリスク軽減ができるかの検討.ダパグリフロジンphase 3の結果およびNHANESのデータでシミュレーション.〔Progress in Medicine Vol.34 No.4 2014.4より作図〕