カレントテラピー 33-1 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.1 57SGLT2阻害薬の課題と展望57パグリフロジン投与による摂取量の増加が報告されており,SGLT2阻害薬服用中であっても食事指導を適切に行うことが推奨される.2 血圧低下作用SGLT2阻害薬投与開始の初期より,浸透圧利尿による尿量増加に伴い血圧低下を認める.グルコースとともに近位尿細管でのナトリウム再吸収が抑制され,その結果,遠位尿細管のナトリウム濃度上昇を生じ,レニン?アンギオテンシン?アルドステロン系(RAA系)抑制に働き血圧低下に作用するとも考えられている9).また,長期的な体重減少効果が降圧効果を持続させる可能性がある.糖尿病患者では50%以上に高血圧症を合併し,心血管イベントの重要な危険因子となる.糖尿病と高血圧の共通の病態であるインスリン抵抗性および高インスリン血症は尿細管からのナトリウム再吸収に伴う循環血液量増加そして交感神経系の活性化をまねき,血圧上昇に寄与すると考えられている.3 脂質代謝への影響糖尿病においては,ホルモン感受性リパーゼ活性亢進およびリポ蛋白リパーゼ活性低下により,超低比重リポ蛋白(very low density lipoprotein:VLDL)合成活性とVLDL異化障害が起こり,高TG血症および低HDL血症を高率に合併するとされている9).SGLT2阻害薬による脂質代謝への影響として一部は体重減少を介するものと考えられる.薬剤により差はあるが,主に中性脂肪の低下,HDLコレステロールの上昇が認められている.しかし,LDLコレステロールの上昇,総コレステロールの上昇を認める薬剤もあり,脂質代謝への影響に関しては今後さらなる検討が必要であると考えられる.4 尿酸代謝への影響高尿酸血症は独立した心血管イベントの危険因子である可能性があり,血清尿酸値の低下は心血管イベントの抑制につながる可能性がある.高インスリン血症は腎尿細管でのナトリウムおよび陰イオンの再吸収亢進を介して,尿酸の再吸収を促進するとされている.また,肝臓でのインスリン抵抗性により解糖系が障害され側副経路のペントース・リン酸経路が活性化されると肝臓でのプリン体が増加する.このため,耐糖能障害時には高尿酸血症を合併する頻度が高い.一方,血糖上昇に伴い浸透圧利尿が促進されると,同時に尿酸排泄が増加する.腎臓における尿酸調節機構として,尿細管管腔側で尿酸再吸収に作用する尿酸トランスポーター(urate transporter1:URAT1)と尿細管細胞の基底膜側あるいは管腔側に発現するglucose transporter9(GLUT9)その他複数のトランスポーターが関与し高血糖腎糖再吸収増加腎糖再吸収阻害(SGLT2阻害薬)カロリーロス尿中糖排泄増加体重減少血中インスリン低下血糖改善HbA1c低下糖毒性解除β細胞機能維持?βインスリン分泌改善?糖新生β酸化脂肪合成脂肪分解脂肪細胞サイズ中性脂肪含量脂肪量肥満ケトン体合成インスリン抵抗性肝臓図2SGLT2阻害薬の作用機序(仮説)〔出典:門脇孝.糖尿病治療の現状と展望.糖尿病UP・DATE 腎島セミナー 29. 2013. p102〕