カレントテラピー 33-1 サンプル

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Current Therapy 2015 Vol.33 No.1 5555Ⅱ 2型糖尿病と心血管イベント冠動脈疾患や脳血管障害といった血管イベントの発症は年齢,性別,喫煙,BMI,収縮期血圧など他の危険因子とは独立して2型糖尿病において約2倍に上昇することが報告されている2). また,ACCORD3),VADT4),ADVANCE5),UKPDS,PROactiveといった5種類の大規模臨床試験のメタ解析ではHbA1c値の低下療法が冠動脈疾患発症リスク抑制に有効であることも示されている.また,UKPDSの追跡調査の結果によると,発症早期からの厳格なコントロールは長期的に,大血管障害の発症・進展を軽減することが報告されている6).しかし,ACCORD,VADTでは,重症低血糖や体重増加をきたす血糖降下療法は,心血管死を増加させる危険性があることも示唆されている(図1).UKPDSに組み入れられた,比較的早期の2型糖尿病患者では,厳格なコントロールが中,長期的にきわめて有益であることが明らかになったが,罹病期間が長く,糖尿病が進行し,動脈硬化症も進行した,ACCORD,VADTに組み入れられた患者に対しては,重篤な低血糖をきたしたり,体重増加をきたすような治療法は望ましくない可能性がある.すなわち,血糖を「どこまで下げるか」だけではなく,「どのように下げるか」も重要である可能性があり,重篤な低血糖や体重増加をきたさないような良質な血糖管理が求められている.また脂質,血圧などを含めた多面的な治療介入もCVイベント発症抑制において必要である(表1).これまで使用されてきた糖尿病治療薬は,いずれも血糖降下作用に依存した心血管イベント抑制作用があると考えられており,メタ解析の結果より,いずれの経口血糖降下薬でも心血管イベント抑制効果は同様とされている.ただ,メトホルミンは肥満糖0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.61.8 2.00.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.61.8 2.0UKPDSPROactiveADVANCEVADTACCORD総計3,071/1,5492,605/2,6335,571/5,569892/8995,128/5,123426/259164/202310/33777/90205/24817,267/15,773 1,182/1,136患者数イベント数冠動脈疾患強化療法/標準療法オッズ比(95% CI) オッズ比(95% CI)0.75(0.54 to 1.04)0.81(0.65 to 1.00)0.92(0.78 to 1.07)0.85(0.62 to 1.17)0.82(0.68 to 0.99)0.85(0.77 to 0.93)UKPDSPROactiveADVANCEVADTACCORD総計3,071/1,5492,605/2,6335,571/5,569892/8995,128/5,12317,267/15,773160/7886/107238/24628/3676/72588/539患者数イベント数脳血管疾患強化療法/標準療法オッズ比(95% CI) オッズ比(95% CI)0.91(0.51 to 1.61)0.81(0.60 to 1.08)0.97(0.81 to 1.16)0.78(0.47 to 1.28)1.05(0.76 to 1.46)0.93(0.81 to 1.06)図15試験のメタ解析:厳格な血糖コントロールにより冠動脈疾患は減少(脳血管疾患は標準療法と同等)〔Ray KK et al.2009より作図〕表1 SGLT2阻害薬と心血管危険因子心血管危険因子リスクの軽減血糖コントロールの改善血圧低下高インスリン血症の改善インスリン抵抗性の改善尿酸値の低下体重減少脂質代謝:TGの低下 HDL-C上昇リスクの増大投与初期の脱水脂質代謝:T-chol,LDL-C上昇