カレントテラピー 33-1 サンプル

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54 Current Therapy 2015 Vol.33 No.154Ⅰ はじめに糖尿病治療において,大血管障害の抑制は重要な目標のひとつである.高血糖状態において心血管イベントのリスクが上昇する原因のひとつとして,インスリン抵抗性の増悪とそれに伴う全身的な代謝異常が背景にあると考えられている.また,舟形町研究においては,空腹時血糖の異常は大血管障害のリスクとはならず,耐糖能異常(impaired glucose tolerance:IGT)が大血管障害の危険因子となることが報告されている1).これは,持続的な高血糖とともに,前糖尿病状態では,ブドウ糖負荷後高血糖や血糖変動幅の増大が心血管イベントの発症に大きく関与していると思われる.さらにメタボリックシンドロームを呈する者は糖尿病発症のリスクが高いが,心血管イベント発症リスクが,すでに2倍に上昇していることがわかっている.メタボリックシンドロームにおいては,インスリン抵抗性による血管内皮細胞の異常や高インスリン血症,反応性低血糖や治療による低血糖時のカテコラミンの上昇や,ストレス反応,血小板機能の異常などが,心血管イベントリスクの上昇や動脈硬化の進展に寄与していることが予想される.これまで,チアゾリジン誘導体やインクレチン関連薬といったさまざまな血糖降下薬の登場により,糖尿病薬物療法の役割が大きく変わってきている.さらに,全く新しい作用機序,インスリン作用に依存しない経口糖尿病薬であるナトリウム依存性グルコース輸送体(sodium -dependent glucose transporter2:SGLT2)阻害薬が発売された.*1 東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科助教*2 東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授SGLT2阻害薬― 摩訶不思議な糖尿病治療薬SGLT2阻害薬とCVイベント永井義幸*1・小田原雅人*2糖尿病治療において,大血管障害の抑制は重要な目標のひとつである.高血糖状態において心血管イベントのリスクが上昇する原因のひとつとして,インスリン抵抗性の増悪とそれに伴う全身的な代謝異常が背景にあると考えられている.これまで,チアゾリジン誘導体やインクレチン関連薬といったさまざまな血糖降下薬の登場により,糖尿病薬物療法の役割が大きく変わってきている.さらに,新しい作用機序の経口糖尿病薬である,SGLT2阻害薬が発売された.血糖値低下,HbA1c値低下のみならず体重減少が認められる.体重減少によりインスリン抵抗性も改善し,膵臓に対する負荷軽減や糖毒性の解除の結果,膵β細胞機能の回復や膵保護作用も期待されている.また,尿酸や中性脂肪の低下,HDLコレステロールの上昇,低血糖をきたしにくいなどの特色は心血管イベントを抑制させる可能性を示唆している.本稿ではSGLT2阻害薬による心血管イベント抑制効果の可能性について紹介する.