カレントテラピー 32-9 サンプル

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10 Current Therapy 2014 Vol.32 No.9842白であるアポB - 48が付与される.合成されたカイロミクロンはリンパ管,静脈系を介して運搬される.経過中に,アポEやアポCⅡといったアポリポ蛋白の付与を受け,成熟し,LPLの作用によってカイロミクロンレムナントの形態となり,最終的に肝臓のレムナント受容体より吸収される経路である.また,カイロミクロンレムナントが肝臓のレムナント受容体を介して取り込まれる際には,カイロミクロンレムナントに存在するアポEが必要とされている.内因性経路とは,肝臓で合成されたTGとコレステロールをVLDL,LDLを介して末梢へと輸送する経路である.肝臓において合成された脂質は,アポB - 100と結合することでVLDLとして分泌される.VLDLは,LPLの作用によりIDLとなり,さらに肝性トリグリセリドリパーゼ(hepatic triglyceridelipase:HTGL)の作用によりLDLとなる.LDLは,コレステロールを豊富に含有するので,LDL受容体によって末梢組織に取り込まれ,コレステロールが利用される.コレステロール逆転送系とは,末梢の細胞からHDLを介して末梢から肝臓へ輸送する経路のことである.HDLの構成アポリポ蛋白であるアポA -Ⅰと,末梢組織のATP- 結合カセット輸送蛋白(ATP bindingcassette transporter A1:ABCA1)の相互作用によりコレステロールがHDLに受け渡され,HDLは成熟する.成熟したHDLはコレステロールエステル転送蛋白(cholesteryl-ester transfer protein:CETP)の作用により,VLDLやLDLにコレステロールを受け渡し,最終的に肝臓のLDL受容体を介してコレステロールを肝臓に戻す.あるいは,成熟したHDLは肝臓表面のSR -BⅠ受容体を介して直接コレステロールを肝臓に戻す経路が存在する.Ⅳ 脂質異常症の分類について脂質異常症は,増加するリポ蛋白によって,Ⅰ型~Ⅴ型に分類される(表2).表2に示すとおり,Ⅰ型ではカイロミクロンが増加,Ⅱa型ではLDLが増加,Ⅱb型ではVLDLとLDLが増加,Ⅲ型ではレムナントが増加,Ⅳ型ではVLDLが増加,Ⅴ型ではカイロミクロンとVLDLが増加するパターンとなる.TGは,Ⅱa型では正常,Ⅰ型とⅤ型では著増する.Ⅴ 脂肪酸について脂肪酸はいわゆる油脂を形成する構成成分のひとつである.グリセリンに対し3つの脂肪酸が結合することでTGを形成する(図3).脂肪酸の化学式は,炭素(C)が数珠状につながった分子でその末端にカルボキシル基(-COOH)が結合した構造となっている(図4).脂肪酸のカルボキシル基がグリセリ食事由来脂質胆汁酸由来脂質小腸カイロミクロンアポB-48アポE アポCⅡカイロミクロンレムナントLPLVLDL IDL LDLLPL HTGLHDLアポA-ⅠコレステロールABCA1コレステロールCETPコレステロールコレステロール逆転送系外因性経路内因性経路肝臓レムナント受容体LDL受容体SR-BⅠ受容体末梢組織LDL受容体図2外因性経路・内因性経路・コレステロール逆転送系