カレントテラピー 32-9 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.9 7839脂質異常症の診断と治療の動向― ACC/AHAガイドラインを考慮して―企画帝京大学臨床研究センターセンター長寺本民生2013年11月,ACC/AHAガイドラインが発表された.その後,米国はもちろんヨーロッパでも大きな波紋が起こり,多くの議論がなされてきた.『The New England Journal of Medicine』でもたびたび取り上げられてきた.それから,約1年が経過し,落ち着いてわが国のガイドラインと照らし合わせながら読み解いていくと,どのような議論になるのかということを,本特集のテーマとした.そもそも「ガイドラインとは,どうあるべきか」ということを再考してみる必要がある.ガイドラインの大きな使命は,標準的な診療を一般医家に伝えることである.そのことが,国民の健康寿命延伸につながるからである.一般医家は大変忙しい診療のなかで多くの多様な患者に対応している.したがって,いかに単純化して正しい情報を届けるかということが最も重要なガイドラインの使命と思われる.Evidence based medicine(EBM)という言葉が常識的に使われるようになって久しい.これは,いわば,治療法が確立され,それを実証することができたために出てきた言葉である.今回のACC/AHAガイドラインは,まさに最も洗練されたEBMをレビューすることにより導き出されてきた一種の結論(もちろん米国におけるという意味ではあるが)である.ACC/AHAガイドラインが,NCEP-ATP Ⅲの延長線上にあると思って読むと違和感がある.しかし,よく見てみるとこれまでのガイドラインが訴えてきたものをきわめて単純化したという読み方ができるし,その意味ではやはりNCEP -ATP Ⅲの延長線上にあり,これまでのガイドラインで答えられなかったCritical Questionsに答える形になっているので,十分従来のガイドラインを踏まえたものとなっていることは再認識しておく必要がある.例えば,厳格に治療すべき患者群を,二次予防,糖尿病,家族性高コレステロール血症,そして絶対リスクのきわめて高い患者の4つに定義している.この点は,NCEP -ATP Ⅲでも同様であり,また,わが国のガイドライン2012でもほとんど同様の概念を主張しているところである.もちろん,日米の患者の絶対リスクが大きく異なることは十分認識すべきであるし,保険診療も異なっていることを念頭に置く必要はあるが,私は日本の診療に翻訳して対応すれば,きわめて意義深く読み解くことができるものと思っている.本特集では,わが国のガイドラインに携わった専門家を中心に,ACC/AHAガイドラインを意識して,まとめていただいた.正確な情報としてガイドラインが受け入れられ,患者に反映できることを強く望むものである.エディトリアル