カレントテラピー 32-9 サンプル

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92 Current Therapy 2014 Vol.32 No.9924められた.また,脂溶性ビタミンの吸収も阻害されるためビタミン剤の摂取が推奨されている.重大な副作用として注目されたものに肝障害,肝不全があったが,発症頻度がまれであったことから,因果関係は否定的であった.セチリスタットとオルリスタット,プラセボ群を比較した試験では,2型糖尿病を合併した肥満症患者を対象にした二重盲検無作為化比較試験(RCT)がある14).それによれば12週間後の体重減少量はオルリスタット3.8kgに対し,セチリスタット4.3kgと有意な肥満改善効果が得られている.後述する副作用についてはオルリスタット群11.6%に対しセチリスタット1.7%のみであった(図2).Ⅶ 日本人患者におけるセチリスタットの効果日本国内で実施された第Ⅲ相試験は,食事療法・運動療法を実施しても体重減少が認められない2型糖尿病と脂質異常症をともに有する肥満症患者(BMI25kg/m2以上かつ内臓脂肪面積)を対象に無作為二重盲検並行群間比較法によりセチリスタット1回120 mg(141 例)もしくはプラセボ(65 例)を1 日3回毎食直後に52週投与し,体重を主要評価項目として内臓脂肪面積・HbA1c(JDS値)・LDL -C(直接法)・TC・TGなどの有効性および安全性を検討している15).セチリスタットでは1 年間の平均体重減少率は-2.78±3.80%と有意に改善し(プラセボ群-1.10±2.99%),内臓脂肪面積減少も-22.12±28.43cm2と有意に大きかった(プラセボ群-9.05±22.34)(図3).また,HbA1 cの減少もセチリスタット群において-0.53±0.93%と有意に改善していた(プラセボ群-0.14±1.02%).LDL-Cは,-6.51±19.67%(プラセボ群3.40±25.49%),TCは,-6.99±12.82%(プラセボ群0.41±13.59%)と有意な差が認められた一方でTGは,-5.61±38.86%(プラセボ群5.41±67.20%),HDL -Cは,2.92±15.44%(プラセボ群1.54±14.49%)と有意な差は認められなかった(図4).空腹時TGについては有意な改善が認められなかった理由については,セチリスタットが食事中TGの吸収を阻害するため主に食後TGを減少させる一方で,肝臓でのTG合成が代償性に亢進したために空腹時TGが変化しなかったのではないかと推測される.中止患者の割合(%)プラセボセチリスタット40mg 3回セチリスタット80mg 3回セチリスタット120mg 3回オルリスタット120mg 3回76543210p=0.0339p=0.0024p=0.1876p=0.0098p=0.0404脂肪便便失禁下痢排便切迫腹痛図2セチリスタットとオルリスタットとの消化管副作用による中止患者の割合〔参考文献14)より引用改変〕