カレントテラピー 32-9 サンプル page 24/32
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カレントテラピー 32-9 サンプル
Current Therapy 2014 Vol.32 No.9 91治療薬解説923ら投与期間が1回14日間,3カ月以内に限定されていた.それ以外では漢方薬の防ボウ風フウ通ツウ聖ショウ散サンに白色脂肪組織分解作用と褐色脂肪組織活性化の報告があり8),減量目的で使用されることがあるものの,抗肥満症治療薬は今までなかった.そのような状況下で登場したセチリスタットはわが国初の抗肥満「症」治療薬である.Ⅴ セチリスタットセチリスタット(オブリーン?)は膵リパーゼ阻害薬であり英国のAlizyme Therapeutics社が開発し,武田薬品が開発および販売に関する権利を取得した.2013年にはリパーゼ阻害薬として,また,わが国初の肥満症治療薬セチリスタットとして承認された.リパーゼは,TGを脂肪酸とモノグリセライドに分解する酵素である.分解された脂肪酸・モノグリセライドは胆汁酸とともにミセルを形成し,小腸から吸収される.セチリスタットは脂溶性が高く,胃内で食物中の油脂と混合され溶解する.溶解したセチリスタットはTGに作用するリパーゼを阻害し,脂肪酸・モノグリセライドへの分解を抑制し,それらの小腸からの吸収は低下,結果的に糞便中脂肪排出量は増加する(図1)9)~11).Ⅵ セチリスタットとオルリスタットセチリスタットと同様の機序で脂肪酸の吸収を抑制するリパーゼ阻害薬オルリスタット(Xenical,Alli)は,1990年米国食品医薬品局(FDA)により抗肥満薬として認可されている.オルリスタットによる脂肪吸収は,非服用時の約30%まで抑制されていることが知られている12).また,同剤を用いた介入研究ではXenical in the preventionof diabetes in obese subjects(XENDOS)試験が有名である13).この試験は肥満者を生活習慣改善群と生活習慣改善+オルリスタット投与群に分け,4年間追跡し体重減少効果,糖尿病発症予防効果を検討した.オルリスタットの体重減少は,1年目で-10.6kgと対照群の-6.2kgに比べて有意な効果,4年後でも-5.8 kgの減少効果と31%の糖尿病発症減少効果も認められた.脂質異常症についても1年目,4年目ともに総コレステロール(TC)(1年目-8.8%,4年目-7.9%),LDL-C(1年目-11.4%,4年目-12.8%)の改善が認められた.主な副作用は脂肪吸収抑制による脂肪便,下痢,腹痛が10~30%程度の頻度で認小腸粘膜小腸粘膜セチリスタット非投与時セチリスタット投与時トリグリセライドミセル脂肪酸コレステロール胆汁酸胆汁酸:リパーゼ:セチリスタット:モノグリセライドコレステロール図1セチリスタットの作用機序