カレントテラピー 32-9 サンプル

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28 Current Therapy 2014 Vol.32 No.986040~75歳で10年間の動脈硬化性疾患の絶対リスクが7.5%以上,の4つが定義されている.このうち①~③は現行の本邦のガイドラインから見ても,細かい差異や管理目標値がないことは別として,少なくとも服薬治療の対象とすることに特に異論はないと思われる.ここでどのような人が治療対象になるのか最もわかりにくいのが④ということになり,「動脈硬化性疾患の絶対リスクが7.5%以上」はこのPooled Risk equationsで算出される.Pooled Risk equationsは,米国の5つの地域住民のコホート研究を統合したデータに基づいて作成された.用いられたコホートは,Atherosclerosis Riskin Community(ARIC)研究,Cardiovascular HealthStudy(CHS),Coronary Artery Risk Developmentin Young Adults(CARDIA),Framingham研究(オリジナルとOffspring)である.そして従来の冠動脈疾患(冠動脈疾患死亡,非致死的心筋梗塞)だけでなく,致死的および非致死的脳卒中もエンドポイントに加えたASCVD(Atherosclerotic cardiovasculardisease:動脈硬化性心血管疾患)の10年間のリスクを予測している.モデルの検討の際にはエンドポイントとして心不全や冠動脈インターベンションを加えることが検討されたが,診断基準のばらつきや処置適用基準の相違などがあるため見送られた.また,予測に用いる指標としては性別と人種(白人とアフリカ系)に加えて(これらは別々の回帰式となる),年齢,血圧レベル(収縮期血圧,治療中と非治療中を分ける),総コレステロール,HDL -C,現在喫煙の有無,糖尿病である.なお,これらの予測指標のうち脂質の治療状況については高血圧のように考慮すべきかどうかが検討されたが,用いられたコホート集団での治療率が低いことや有意差がなかったためこの式には含まれていない.また拡張期血圧,ASCVDの家族歴,慢性腎臓病(chronickidney disease:CKD),BMIはASCVDの発症予測能を改善しなかったためモデルに含まれていない.そしてこの式では各変数は基本的に対数変換して用いられ,予測式にはいくつかの交互作用項(例えば「年齢の対数×総コレステロールの対数」等)が含まれている.要するにパソコンやウェブサイトでの計算を念頭に置いたツールである.ヨーロッパ低リスク国用女性男性年齢(歳)<非喫煙> <喫煙> <非喫煙> <喫煙>180160140120180160140120180160140120180140160120180160140120656055504015%以上10~14%5~9%3~4%2%1%1%未満43215321642264327532954396431175312864141074321132113211422143215321542264327532854311101110211121112111321132113211432143211000100011001100110011101110211021112111000000000000000000000000000000000000000000001000100011001100110011101110211121114 5 6 7 8 4 5 6 7 8 4 5 6 7 8 4 5 6 7 821112111321132114221422143215322643275323211422143215322643274327532864331075128645322643275328543964310753118541396415117518139685428643107531286414107515107517128520149623161182619139収縮期血圧(mmHg)150 200 250 300 mg/dL TC(mmol/L)図1SCOREチャート:10年以内の動脈硬化性疾患死亡の絶対リスク〔参考文献3)より引用翻訳〕