カレントテラピー 32-8 サンプル page 9/38
このページは カレントテラピー 32-8 サンプル の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
カレントテラピー 32-8 サンプル
12 Current Therapy 2014 Vol.32 No.8726ある.医療圏は医療法により規定され,都道府県(知事)により作成された地域保健医療計画に従い整備されている.特殊な医療を除く一般的な医療サービスを提供する医療圏,あるいは一体の区域として入院に係る医療を提供することが相当である単位,すなわち二次医療圏は349(2011年4月1日現在)ある.これらについて人口・面積等の公開されている基礎データを合わせて用いて,高齢化率を勘案したデータを順に示す.図5~7のグラフにおける各点は医療圏を表す.図5は各二次医療圏における,人口と時間外救急搬送数の関係を示す.当然のことながら,時間外救急搬送数はおおむね人口に比例しており,人口の少ない地域で特別に多いわけではない.冒頭で述べたように,今後は人口よりむしろ高齢化率が救急需要に影響してくると考えられる.図6は,各二次医療圏の高齢化率と人口あたりの時間外救急搬送数の関係を示したものである.一部の医療圏でばらつきが見られるものの,それ以外では高齢化率と,人口あたりの時間外救急搬送数の割合には明らかな相関は見られなかった.しかし,高齢化率と救急搬送後の入院割合の関係(図7)を見ると,高齢化率の上昇に伴い,緩やかに入院割合が上がっているように見える.Ⅵ おわりに救急搬送総数の増加,なかでも高齢者,特に軽症例が増加していることから,二次救急医療機関で対応しきれなくなると,病院選定困難となった一部の傷病者は救命救急センター(三次施設)で受け入れざるを得なくなり,三次施設の病床の占有の原因となる.特に,高齢化の進んだ地方都市においては数少ない施設への搬送患者の集中が救命救急センターの運営上の課題となっている5).加えて,慢性的な出70,00060,00050,00040,00030,00020,00010,00000 500 1,000 1,500 2,000 2,500人口(千人)時間外救急搬送数(件/年)図5 各二次医療圏における,人口と時間外救急搬送数の関係各点は二次医療圏を表す.横軸は人口,縦軸は年あたりの時間外救急搬送数を表す(R2=0.867)14012010080604020015 20 25高齢化率(%)30 35 40人口あたりの時間外救急搬送数(件/千人/年)図6 高齢化率と時間外救急搬送数横軸に各二次医療圏の高齢化率,縦軸に人口あたりにならした時間外救急搬送数をとった.15 20 25 30 35 40高齢化率(%)80706050403020救急搬送入院割合(%)10図7 高齢化率と救急搬送後の入院割合の関係横軸に高齢化率,縦軸に救急搬送後入院になった件数の割合をとった.