カレントテラピー 32-8 サンプル

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8 Current Therapy 2014 Vol.32 No.8722Ⅰ はじめに国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来設計(都道府県別推計)」1)によると,65歳以上の世帯主の割合は,2035年には41道府県で40%以上になり,さらに愛知県,東京都を除く45道府県では全世帯主に占める75歳以上の世帯主の割合が20%以上になると推定されている.なおかつこの資料で注目すべきは,高齢世帯における単独世帯の割合が46都道府県で30%以上,9都道府県で40%を超える点に言及していることである.図1に示すように救急搬送傷病者数がますます増加している2)が,高齢の単独世帯が増加するにつれ,より一層救急需要が増えることが容易に想像できる.2012年3月30日に発出された「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」(厚生労働省医政局指導課長通知)では,二次救急医療機関は入院を要する救急医療を担う医療機関として,24時間365日救急搬送の受け入れに応じ,傷病者の状態に応じた適切な救急医療を提供することが目標として求められている.2013年2月から「救急医療体制等のあり方に関する検討会」においても,「二次救急医療機関の質の充実強化」が議論されている.本稿では,平成25年度厚生労働科学研究費補助金「救急医療体制の推進に関する研究」(主任研究者 山本保博)3)により得られたデータを示しつつ,救急医療のセーフティネットとしても大きな役割を担う二次救急医療機関と高齢化率の現状について述べる.Ⅱ 二次救急医療機関の年間救急搬送対応の実態平成22年度救急医療提供体制現況調べ(厚生労働二次救急医療機関と高齢化率の現状織田 順*65歳以上の世帯主の割合は,2035年には41道府県で40%以上になり,高齢世帯における単独世帯の割合が46都道府県で30%以上,9都道府県で40%を超えると予測されており,救急需要の増加が見込まれる.3,000あまりの二次救急医療機関においては,救急搬送の受け入れ実績についてかなりのばらつきがみられるものの,救急医療のセーフティネットとしての一面をもつことは間違いない.二次医療圏ごとに見ると,高齢化率の上昇とともに救急搬送後の入院割合が緩やかに上昇しているように見える.近年の救急搬送事例では高齢者,特に軽症例が増加していることが,二次救急医療機関のみならず救命救急センター(三次施設)の運営に影響してきている.そのようななかで自治体・医師会の協働した取り組み,救急医療システムの可視化,ルール制定などが試みられて成果を挙げている地域がある.* 東京医科大学病院救命救急センター長救急医療の現状と展望― セーフティネットを求めて