カレントテラピー 32-8 サンプル

カレントテラピー 32-8 サンプル page 33/38

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 32-8 サンプル の電子ブックに掲載されている33ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 32-8 サンプル

Current Therapy 2014 Vol.32 No.8 95航空搬送809数の場外離着陸場(ランデブーポイント;公営グラウンド,校庭,河川敷など)を設置しておく.?消防機関は,傷病発生現場などから基地病院に対して出動を要請し,患者を傷病発生現場近くの場外離着陸場へ救急車搬送する.?出動要請を受けた基地病院は,ドクターヘリに医療クルー(医師・看護師など)を搭乗させ,同場外離着陸場まで飛行する.?同場外離着陸場で患者の受け渡しを行う.このとき,救急車内またはヘリ内で初期診療(診察・処置など)を開始する.?ドクターヘリに患者を収容後,基地病院または他の救急医療機関へ搬送する.2)施設間搬送離着陸場を有する医療機関間の施設間搬送では,下記の手順で直接出動を要請する.離着陸場のない医療機関からは,要請元の医療機関が所轄の消防機関へ搬送を要請し,消防機関から基地病院へ出動要請のうえ上記現場出動と同様の運用を行う.?基地病院に対して出動要請をする.?要請を受けた基地病院は,ドクターヘリに医療クルー(医師・看護師など)を搭乗させ,要請医療機関の離着陸場まで飛行する.?同離着陸場で患者の受け渡しを行う.?ドクターヘリは患者を収容し,基地病院または近くの救急医療機関へ搬送する.3)その他関係諸機関との調整により,高速道路上への離着陸が可能となっている.ただし場所によってさまざまな要件があり,多くの場合,離着陸時には上下線ともに通行止めにしなければならない.このため実際の利用は多重衝突事故などに限られ,通常はサービスエリアの場外離着陸場が用いられている.これまでドクターヘリは消防や警察など行政機関の通報・要請がないと,飛行場以外には離着陸できなかった.しかし2013年11月29日に航空法施行規則第175条が改正され,一定の安全確保がなされれば要請なしでも離着陸できるようになった.具体的な運用は今後の課題であるが,多数傷病者発生事故や災害時などの確実な運用が可能になると考えられる.Ⅴ ドクターヘリの有効性ドクターヘリの利点は,単なる搬送時間の短縮ではなく,救急医・看護師などからなる救急医療チームが医療機器とともに現場へ出動し,迅速に初期診療を開始できるところにある.現在,出動要請から離陸までに要する時間は平均5分程度であり,重症・重篤な症例に対して早期に医療介入を行い,引き続き全身管理を行いながら迅速に高度医療機関へ搬送することができる.特に重症外傷や心大血管疾患など,迅速な医療介入が必要な疾病の救命率を向上させることが期待されている.その他にも,僻地・離島の医療,重症患者や周産期救急の施設間搬送など,地域の状況に応じて有効活用することが可能である.ドクターヘリを含めたHEMSの有効性評価について,これまで多くの臨床研究が行われてきた.HEMS全体の評価はいまだ一定していないが,近年有効性を示す報告が多く,特に重症外傷ではいくつかの大規模研究によって救命率の有意な向上が示されている2)~4).米国外傷データバンク(National Traumadata Bank:NTDB)に登録された外傷重症度スコア(injury severity score:ISS)15以上の成人重症外傷223,475例の分析では,HEMSによるレベルⅠ外傷センターへの搬送例は救急車による地上搬送(Ground Emergency Medical System:GEMS)よりも生存退院率が有意に高かった〔OR 1.15(1.14~1.17), ARR 1.4%〕2).ドイツ外傷学会のデータバンク(TraumaRegister DGU)に登録されたISS 9以上の重症外傷13,220例の解析でも,HEMS搬送例はGEMS搬送例より有意に死亡率が低かった〔OR 0.75(0.636~0.862)〕3).その他にもさまざまな研究によりHEMSの有効性が報告されているが,対象となる外傷や疾病の重症度,選別基準などに地域差が見られるため,現在では,どのような選別基準でHEMSを用いるとより有効なのかを明確化することが課題となっている4).一方,ドクターヘリの運航にはかなりの費用がかかり,まれではあるが航空機事故の可能性もあるため,ドクターヘリの有用性を評価するうえでは,こ