カレントテラピー 32-8 サンプル

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42 Current Therapy 2014 Vol.32 No.8756置,鼻出血の止血から,急性心筋梗塞や大動脈解離,重症外傷や中毒,心肺機能停止に至るまで,年間約1万件の救急搬送患者に救急医が対応している.例えば,顔面外傷のため,形成外科の診療が可能な施設へと搬送されてくる患者であっても,多くの場合,救急医が創傷処理を行う.鼻出血も耳鼻科医の診療が可能な施設へと搬送されるが,救急医が止血処置を行う.このような患者は,非ER型では形成外科医や耳鼻科医が不在であれば不応需となるが,ER型救急医によって多くの場合は外来診療が完結できている9),10).都内では,複数の救命救急センター機能を有するER型救急医療機関があり,それらは年間1万件近い救急患者を応需するハイボリュームセンターとなっている.2013年に東京消防庁が扱った救急患者(転院搬送を除く)は年間約60万件である.極端な演繹ではあるが,ER型救急医療体制の整備された医療機関がおよそ60施設あれば,いわゆる「たらいまわし」が激減すると考えられる.医師不足に悩む過疎化地域においては,診療科横断的な総合的能力を有するER型救急医はその役割を大きく果たす可能性がある.しかし,現状では,救急医自体の不足から,医師不足地域に救急医が充足していない.救急医療体制自体を設計できないのが現状と言わざるを得ない.したがって,現下のER型救急医療体制とは,施設設備の整った医療体制下で進行している,すなわち都市における救急医療のA BC D020406080100年間の救急車搬入患者数0306090120150救急部門専任の救急科専門医数020406080100病床数ER型非ER型ER型非ER型ER型非ER型ER型非ER型020406080病院数病院数病院数病院数10,000人20,000人30,000人40,000人>40,000人年間の救急患者数250床500床 750床 1,000床>1,000床2,000人 4,000人 6,000人8,000人>8,000人0人 3人 5人10人 15人>15人図4 ER型救急医療体制を採用する施設の特徴日本救急医学会が救急科専門医指定施設を対象に行っているアンケート調査の結果を示す.A:各施設の病床数別にER型を採用しているか否かを示す.ER型は中小規模病院の占める割合が高い.B:年間の救急患者数別にER型か否かを比較した.ER型は非ER型と比較して,多数の救急患者を診療する施設が多い.C:年間の救急車搬入患者数別にER型か否かを比較した.ER型は非ER型と比較して,多数の救急車搬入患者を応需する施設が多い.D:ER型か否かで専門医数を比較した.ER型は少数の救急科専門医が中心となって救急診療を行っている施設が多数を占めている.