カレントテラピー 32-8 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.8 41ER型救急医療755型では,救急外来に看護師や研修医を配置し,その看護師や研修医が病態にあわせて既存診療科の専門医に診療を依頼するモデルである.このモデルで,責任ある医師が診療を行うのは,その専門領域の患者のみとなる.一方,専門領域からはずれる患者や専門医が「診療したくない患者」については責任ある医師の診療が行われない体制ともいえる.すなわち,救急患者の診療全般に責任を負う医師や部門がなく,「たらいまわし」と言われるような社会問題発生の素地となった.現在でも,救急医が不足しているために,この体制で救急診療を行わざるを得ない病院が多数を占めている.一方,ER型は,重症度や臓器専門性にこだわらず救急患者を救急医が診療するモデルである(図3B).救急医が救急部門で救急患者を診療し,入院加療や専門治療が必要な患者は専門医と連携するので,救急医は臓器別診療科とは異なって,診療科横断的な診療を行うことが特徴である(表).これによって,臓器別専門医は専門領域の診療に専念することが可能になる.また,少数の救急医によって多くの救急患者の診療を行うことができる.いわゆる「たらいまわし」の問題解決の一助になると考えられている7).救急医はいまだに不足しているものの,ER型を採用する救急医療機関の増加は,救急医の増加によって救命救急型以外の救急患者の診療にも救急医が参画できるようになった結果とも考えられる.Ⅳ ER型救急医療の実情ER型救急医療を採用する救急医療機関の特徴は,日本救急医学会が同学会の専門医指定施設を対象に行った調査から明らかになっている1)~3).専門医指定施設は一定以上の救急科専門医が在籍し,かつ一定以上の救急患者を診療している救急病院であり,小規模病院や診療所は含まれていないので本邦全体の医療機関の特徴を反映するものではないが,各地域で救急医療を支えている基幹的病院であり,その特徴は本邦の救急医療の方向性を示唆している.これらの施設のうち,何らかの形でER型救急医療が採用されている施設は約70%に上っていた.病床数でみれば,大規模病院よりも中規模の病院に多い(図4 A).そこでは,ER型を採用していない施設よりも,受け入れている救急患者数が多い(図4 B, C).一方,救急医として勤務する救急科専門医数はほとんどの施設が5人以下であり,非ER型と比較して少数である(図4D).すなわち,ER型救急医療を採用する救急医療機関の特徴は,救命救急センターのように少数の重症患者を多くの救急医によって診療するのとは異なり,救急外来を実質的に管理する少数の救急医によって,より多くの救急患者を診療していることにある3).つまり,決して大きくはない医療資源を多くの患者に有効に配分する医療モデルといえる.これらは地域の救急医療を支える中規模病院に多い.中規模病院では,少ない人数で多くの救急患者を診療することが病院経営上の利点となるので,ER型救急医療が採用されやすいと考えられる.ER 型救急医は診療科横断的な診療を行うので,1人でほとんどの診療科にわたる急性期病態の診療を行う.もちろん,ER型救急医の診療の後,入院治療や専門的診断および治療を要する場合には,臓器別専門医との連携の必要が生じる.しかし,帰宅可能患者の診療は完結することができるので,患者は,いわゆる「たらいまわし」に遭遇しづらい.一方,臓器別専門医は専門領域の診療に専念することを可能にしている.役割分担によって患者の,ひいては救急医療全体の効率化に貢献できる.慶應義塾大学病院は24 時間体制で救急搬送患者に対してER型救急医療を行っている.これによって,軽症から救命対応を要する重症患者までを救急医が診療している.この体制下では,顔面外傷の縫合処表 ER型救急医の役割1.救急部門の専任医師で,その他の診療科との兼務は行わない.2.重症度や臓器別専門分野に関わらず,すべての救急患者の診療を行う.3.救急患者の診療では診断と初期安定化とに努める.4.原則として,入院治療,手術を含めた専門治療を行わない.