カレントテラピー 32-8 サンプル

カレントテラピー 32-8 サンプル page 17/38

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 32-8 サンプル の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 32-8 サンプル

38 Current Therapy 2014 Vol.32 No.8752Ⅰ はじめに日本救急医学会は,業務のすべて,あるいは大半を救急医学の診療,教育,また,管理に当てている医師を救急医と定義し,さらに,その救急医が重症度,罹患臓器,年齢,性別によらず救急患者を診療するモデルを“ER型救急医療”と定義している1)~3).本邦では,近年,このモデルを採用する病院が増加している1)~5).その業務内容は必ずしも一様ではなく,ER型救急医療,さらにはその淵源である米国の救急医学への理解もさまざまではあるものの,ER型救急医療が従来の救命救急医療を補完すること,そして増大する救急医療需要に呼応していることに注目が集まっている4),5).社会構造や医療の担う役割の変化,救急医学と医療の発展はER型救急医療の需要をさらに増大させることは間違いない.本稿では,日本救急医学会の調査結果に基づいてER型救急医療の現状とその役割について概説する.Ⅱ 本邦の救急医療の歴史的背景とER型救急医療の出現救急医療を担う救急医療機関の整備は,1970年代に初期から3次への階層化によって行われた(図1).すなわち,初期救急医療機関は帰宅可能患者を対象に開業医や診療所が,2次救急医療機関は入院加療を要する患者を対象に病院が,3次救急医療機関は救命救急医療を要する患者のみを対象に救命救急センターが担当する体制である.この階層化によって,3次救急医療機関,すなわち救命救急センターが本邦の救急医療における指導的役割を果たすことにER型救急医療の現状鈴木 昌*ER型救急医療は救急医が重症度,罹患臓器,年齢,性別によらず救急患者を診療するモデルである.従来の本邦の救急医療機関は初期から3次(救命救急センター)に階層化され,救命救急センターが指導的役割を果たしてきた.この階層化によって,プレホスピタルで重症と判断された患者のみが3次救急医療機関で診療が開始された.この仕組みは救急医療の資源を少数の重症患者に集中させ,救命医療の発展に貢献した.しかし,社会構造や医療に対する需要の変化により,1990年代以降,ER型を採用する救急病院が増加した.ER型の特徴は,比較的少数の救急医が重症度や臓器別専門領域に関わらずにすべての救急患者を診療することにある.これは専門医間の役割分担による効率化を推進すると同時に,多くの救急患者を診療できる体制であり,救急医療の資源を多くの救急患者に効率的に配分する試みである.そして,診療のみならず,教育や研究にも発展が期待できる体制である.* 慶應義塾大学医学部救急医学教室講師救急医療の現状と展望― セーフティネットを求めて