カレントテラピー 32-7 サンプル page 15/32
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カレントテラピー 32-7 サンプル
Current Therapy 2014 Vol.32 No.7 23狭心症の診断と治療639の高い壁運動異常評価法や組織ドプラ法,ストレインイメージング(図3)6)などの新技術が開発されている.ストレインイメージングは従来の組織ドプラ法と異なり,心臓全体の動きや隣接する心筋による牽引などの影響を受けにくく,局所心筋の変動を評価することが可能であるため負荷心エコー図法の感度と特異度を改善することが期待されている.3 心筋シンチグラフィ運動負荷,薬剤負荷による心筋血流イメージングが一般的となり,201 Tlおよび99mTcを用いて心筋血流およびバイアビリティの評価を行う.運動負荷の場合,自転車エルゴメータまたはトレッドミルを施行し,最大負荷時に心筋血流製剤を投与し60~90秒後に負荷を停止する.薬剤負荷では原則としてアデノシン負荷が用いられる.アデノシンは冠動脈に直接作用することにより,投与直後から最大冠血流速度増加作用が得られるためである.負荷時像および遅延像(再分布像)を撮像し,可逆性灌流低下の部位,大きさ,分布の異常を評価する.心筋虚血の診断が可能なだけでなく,バイアビリティの評価や冠動脈疾患の予後推定においても重要な指標となる.また,心筋血流イメージングで正常であれば心事故は0.5%/年程度ときわめて低く,経過観察中の予後良好のサインとなり得る(図4)7).心筋血流イメージングと冠動脈CTを融合画像とすることで,虚血と対応する責任血管の同定が正確に判定できることが報告されてきている(図5)8).4 心臓MRI近年のMRI装置とソフトウエアの進歩によって心臓領域におけるMRIの適応分野は拡大し,心筋バイアビリティや心筋虚血の診断を高い精度で行えるようになった.遅延造影MRIは負荷を要しない簡便な検査法であり,急性期から慢性期までの梗塞病変が心内膜下梗塞を含めて明瞭に描出される.心筋虚血評価方法として,ガドリニウム造影剤をボーラス投与している間にT1強調画像によるダイナミック撮影を行い,左室心筋における造影剤のファーストパスをとらえることで心筋血流を評価する心筋PerfusionMRIがある(図6)9).心内膜下虚血も良好に描出され,心筋血流SPECTと同等以上の診断能を示すようになってきている.また,放射線被曝の心配がないこともMRIの大きな利点であり,石灰化や骨の影響を受け図6左前下行枝有意狭窄を有する心筋PerfusionMRIの一例左前下行枝領域に造影効果に乏しい低灌流領域があり,心筋虚血の所見と考えられる.〔参考文献9)より引用改変〕